里奈役が女性に与えた印象と恐怖、そして、「あんなメス力の塊みたいな女に近づかれたら、自分のパートナーも奪われそう」という想像からの嫌悪感。昔の表現に置き換えるなら“ぶりっ子”な仕草も完璧にハマっていた。役が彼女に吸いついたのかもしれないという妄想を掻き立てるほどの威力だ。
放送当時、主婦の友人からも「ああ、あの子ねえ」と、批判の声が聞こえてきたことを思い出す。あのあざとさは尋常ではない、と。ただ、怪演好きな私としては、出演するだけで作品が面白くなりそうな女優さんが出てきた、とほくそ笑んでいた。
単純に可愛いだけではなく、髪の毛も肌も体も、すべてが柔らかそうな質感の松本さん。ビジュアルの採点は満点として、最大の魅力はあの甘ったるい声に潜んでいる。エイジレスケアの一環として、美容界でもたびたび取り上げられているのが喉のケアだ。30代になると加齢によって次第に声が太くなってしまう。彼女のように、元々甲高い可愛らしい声を35歳で担保しているのは貴重な存在。あんな声で迫られたら、断る男性もいないだろう。
女性からの冷たい視線が羨望の眼差しへとシフト
人気獲得のためには女性からの支持率はどうしても必要な要素。そのために、わざとサバサバしたキャラクターを醸し出している……ということも多々あるらしい。
でも里奈役から2年経過した今でも、彼女の雰囲気は変わらない。むしろ役柄では“あざとい”“愛されない”と言ったイメージを覆すことのないブランディングを続けている。これは前述の田中みな実さんもまるで同じだった。局アナ時代から女性にひたすら嫌われても、臆することなく自分を発信し続けた結果が現在の人気である。