コロナの時代を生きるということ
新型コロナウイルスの感染拡大という経験を経て、日本でもさまざまなことが変化するといわれている。
「物の本によると、飛行機というのは軌道修正するときにバイブレーションが起こるそうです。いま、まさに地球は進路を変更している激動のときなのかもしれません。そう考えて前向きに生きること。それから振り落とされないようにすることが重要なのかなと思っています。
『二八の原理』というのがあって、80%の人が振り落とされるという説もあります。コロナは200年前の産業革命以来の大きな出来事だと。
ぼくがコロナについて思うのは、どうすれば振り落とされず、生き残れるのかについて、じっくり考えるための時間を与えられたということです。仕事があるのは当たり前ではないと謙虚な気持ちになることもできました。
ぼくは闇雲に進化するのではなく、自然界や人の心との調和を考えながらさまざまな選択をしていくことがとても大切なことだと思うのです。
進化というと前へ前へと進むことをイメージしてしまいがちですが、立ち止まって考えたり、過去から学んだり、時には過去に逆戻りしたりしながら、心の豊かさを取り戻していくことが本当の進化なのではないかと。自粛生活中に、そんなことを考えていました」
何を聞いても、わかりやすく丁寧に自分の考えを聞かせてくれる。うそが嫌いな完璧主義。だが、とても温かい心の持ち主でもある。最後にこんな話を聞かせてくれた。
「郷ひろみは誰よりも幸せでいなければいけないと思っています。なぜなら人に幸せを提供することが使命だから。結局のところ、60代になったぼくが悟ったのは『自分が幸せでない人は誰かを幸せにすることなどできない』ということ。驕っていると思う人がいるかもしれませんが、これが本質だという確信があります。自分が幸せでないと、すべてのパフォーマンスが嘘になる。だから、ぼくはいかなる努力も惜しみません。それが郷ひろみであり続けるために、ぼくがしていることのすべてなのです」
【プロフィール】
◆郷ひろみ/1955年10月18日生まれ、福岡県出身。1971年、映画オーディションで故・ジャニー喜多川さんにスカウトされ、1972年にデビュー。これまで発表したシングルは105枚、『NHK紅白歌合戦』への出場は32回にのぼる。日本の男性ソロアーティストとして歴代4位の1300万枚のセールスを記録している。
撮影/大平晋也、女性セブン写真部
※女性セブン2020年9月10日号