“若大将”もがぶ飲みであわや…

 西山医師によれば、誤嚥は食べ物よりも「飲み物」で起こりやすいという。

「喉は普段、呼吸をするために気道へと通じていますが、飲食物を飲み込む瞬間だけ気道のフタを閉じ、食道が開く。飲み物は喉を素早く通過するため、一瞬でも気道のフタを閉じるタイミングが遅れると誤嚥してしまう。とくに液体は固形物に比べてスルスルと喉を通るうえ嚥下中に小さな雫となるので、気管に入りやすいのです」

 さらに飲み物のなかにも、誤嚥しやすいものがある。

「一番誤嚥しやすいのが普通の冷たい水。一気に飲めてしまうからです。逆に白湯やお茶など温かいものは、一口ずつ飲むことが多く、水に比べて誤嚥しにくい。炭酸飲料も刺激が強く一気飲みしないという点で、水より誤嚥のリスクは低くなる。

 一方でお酒は筋肉を弛緩させ、神経伝達を遅らせるので、誤嚥を招きやすい。実際、お酒好きの高齢者の中で、深酒するとむせるかたは散見されます。個人的にすすめるのはスムージーやヨーグルト系の、とろみのある飲料です。こうした飲料は誤嚥しにくいことが分かっています」(西山医師)

「ラッパ飲み」は厳禁

 残暑厳しいこの季節、「水分補給は白湯かスムージーで」というのはさすがに現実的ではないかもしれない。安全に水を飲むためには、どんな点に注意すればいいのか。

「一番やってはいけないのが、ペットボトルのラッパ飲みです。上を向いて水を一気に飲もうとすると、嚥下処理能力を超えてしまい、気管に入りやすくなる。コップで飲むほうが上を向くことがないため安全です。少量を口の中に入れて、軽くお辞儀をするように下を向いて、一口ずつ飲み込むように意識しましょう。背筋を伸ばすのもポイントです」(同前)

 毎食後に高血圧など持病の薬(錠剤)を服用する際も、水は「少量でゆっくり」を心がけたい。ゼリーなどを混ぜて水にとろみをつけるのも有効だという。

「口腔から喉にかけて、水分が小さな雫になりにくくなります」(同前)

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン