芸能

菅田将暉&小松菜奈の演技が王道恋愛映画に見事ハマったワケ

会見でも仲の良さを見せた菅田将暉(左)と小松菜奈

 今年3月に交際報道があり、「付き合ってるの?」「お似合いすぎる」という声が聞かれ、世間の注目の的となっていた菅田将暉(27才)と小松菜奈(24才)。そんな2人のダブル主演とあって、映画『糸』は8月21日の公開直後、国内映画ランキング初登場1位を獲得(全国週末興行成績・興行通信社)。先行上映と公開初日を合わせた4日間の観客動員数は約27万8000人、興行収入は約3億7000万円を記録し、旬な2人の息の合った演技が多くの人々を魅了している。本作が支持される理由について、映画や演劇などに詳しいライターの折田侑駿さんが解説する。

 * * *
「涙が止まらなかった」、「運命ってあると思う」「小松菜奈がひたすら可愛い」など、SNSや口コミには、公開開始から続々と反響が寄せられている映画『糸』。それも、若い世代だけでなく、幅広い世代の胸を打っている。

 その理由は主に、映画のタイトルの通り、本作が1992年にリリースされた中島みゆき(68才)の楽曲『糸』に着想を得て作られたからだろう。『糸』は、28年にわたり多くの人に愛され、カラオケではバラードの定番ソングとして親しまれる、言わずと知れた名曲だ。歌手の絢香(32才)や福山雅治(51才)など、これまで数多くのアーティストもカバーしてきた。流行りの曲ではなく、慣れ親しんだ曲が劇中で流れた時、懐かしい気持ちになる人は多かったと思う。エンディングには、亀田誠治(56才)プロデュースの元、菅田と石崎ひゅーい(36才)が歌う『糸』も新たに挿入され、新旧融け合った演出で幅広い層の心を掴んだ。

 物語も『糸』の歌詞を連想させるような構成になっている。本作は、平成元年に生まれた菅田演じる高橋漣と小松菜奈演じる園田葵が、出会いと別れを繰り返し、平成の終わりに再開するまでの18年間を描いた恋物語。平成という一つの時代の始まりと終わりを通して、“縦と横の糸”のように2人の人生が絡み合う様子が描かれている。楽しさや嬉しさだけでなく、大切な人との死別や、信じていた人の裏切りなど、生きていれば誰しもに起こりうる悲しい出来事を丁寧にすくい取っている点も、観客の胸を打った理由だろう。

 だが、この作品の最大の見所は、主演の2人の醸し出す空気感にある。というのも、2人は本作で3度目の共演なのだ。2人はこれまで、2016年に公開された『ディストラクション・ベイビーズ』と『溺れるナイフ』で共演している。前者で描かれていたのは「若者の狂気と暴走」で、後者は「十代の恋物語」だ。

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