「このところ、政治家の学歴が気になるんだよねぇ。その昔は帝国大学を出た、頭のよさそうな人が志をもって政治家になっていただろうに、最近は変わってきたよね。政治家としての能力と学歴は関係ないというけれど、閣僚や官僚は東大法学部卒が主流で、アメリカのハーバード大卒も珍しくないのよ。その人たちが仕事しやすいように仕組んでいるとしか思えない」
農業高校卒の私が人の学歴をどうこう言う気はまったくないよ。けど、政治を団体競技と考えたら、頭のいい監督は表に出てこなくて、適当に現場配置を決めて、裏で筋書きを書く。で、自分たちに都合のいい人物を表に立たせて、体調不良を起こしたら、次の人に替えればいい。そう考えているのかも、と思っちゃう。もっとも、今回の筋書きはどれもこれもダメ。スカスカ。
もう1つ言えば、私らアラ還以下の世代は、70代、80代を高齢者だと油断していたら、大変な目に遭うんだなというのを、今回学んだね。欲のないふりして「総理になるのは考えていません」と直前まで繰り返して、やるとなったら一夜で決める。あんな顔して長い間、この日をイメージトレーニングしていたのよね。
そうそう。最後の「どうせ」は、野党の面々よ。ここ数年、政治スキャンダルを暴くのは、もっらぱら週刊誌。そこにオイシイところ、全部もっていかれてるって野党としてどうよ。国会議員としての調査能力を発揮して、与党の不正をただして、私らの溜飲を下げてよと思うけど、どうせやる気ないでしょ。
ニュースで立憲民主党の枝野幸男代表の名前が出て、何かと思えば、禁止されている議員会館の事務所内で喫煙したことが発覚。それを咎められると「認識が甘かった」だって。野党を束ねようと思ってるんなら、そんな昔のツッパリ高校生みたいなことじゃないニュースで出てきてよ。
とにもかくにも、ただでさえコロナ禍で毎日が不安でいっぱい。明日のことなんか考えたくもない。そんな中で、日本のトップを決める総裁選で、ハシゴを外されるとは思わなかったわ。飲食店、個人事業主、そして私のようなフリーランスにとって、今後、ますます厳しい世の中になるのは間違いないこと。「自助、共助、公助」なんて、なんでわざわざ上から言うかな。
【プロフィール】
「オバ記者」こと野原広子。1957年、茨城県生まれ。空中ブランコ、富士登山など、体験取材を得意とする。
※女性セブン2020年9月24日・10月1日号