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自民総裁選で浮上の少子化対策 菅案と岸田案を検証してみた

人口減という難題にどう立ち向かう?(AFP=時事)

 自民党総裁選立候補者が打ち出した「少子化対策案」がにわかに注目されている。9月9日に開かれた自民党総裁選の立候補者による討論会(党青年局・女性局主催)で、菅義偉官房長官は、「不妊治療の保険適用を実現したい」と述べ、岸田文雄政調会長は「出産費用を実質的にゼロにしたい」とした。

 SNS上でも「出産費用ゼロ」と「不妊治療の保険適用」は大きな話題になった。なかには〈出産費用がゼロだからといって子供を産むなんて人はいない〉〈出産や不妊治療より、育てることのほうがお金がかかる〉といった意見もあるが、出産・子育てには総じてお金がかかるものだから、これらの施策によって少しでも負担が軽減されるなら、それなりに意味があるのではないか。

 では「出産費用ゼロ」と「不妊治療の保険適用」とでは、どちらが金額的なプラスが大きくなるのか。菅氏も岸田氏も詳細には踏み込んでいないので、あくまで現行制度をそのまま適用したうえで、大まかに試算してみた。

 まず「出産費用ゼロ」について。厚労省の調査によると、出産費用の平均は約49万円(2012年度)で、妊娠・出産は病気ではないので健康保険が適用されず、実費負担になっている。しかし、健康保険には「出産育児一時金」という制度があり、一児につき42万円が出て、一部の健康保険組合や自治体からはさらに上乗せされることがある。つまり、現行制度においても、すでに出産費用の自己負担はゼロか、かなり小さいと言える。

 これが帝王切開となると、普通分娩の出産費用に、帝王切開の手術料や検査料、投薬料など20万〜30万円が上乗せされる。しかし、上乗せ分に対しては医療費として健康保険が適用され、自己負担額は3割になり、さらに「高額療養費制度」が利用できる。これは所得によって1か月の医療費の自己負担額に上限を定めた制度で、たとえば、年収約370万円〜約770万円の人の場合、医療費の1か月の自己負担額上限はおおよそ8万〜9万円になり、それ以上の負担は求められない。

 つまり、出産費用ゼロは正常分娩であれば現状でもすでにおおむね実現していると言え、帝王切開でも多額の費用が必要なわけではない。

 一方の不妊治療。日本では約46万人が不妊治療を受けているといわれているが、現状で費用はどれくらいかかるのか。

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