兵役はどうなる!?(写真/GettyImages)

「兵役免除」求める声も

 もう一つ、今国民の最大の関心事とも言えるのが、韓国人男性なら避けられない「兵役義務」の問題だ。韓国では、満18才以上の男子は28才までに入隊し、1年半~2年間兵役に就かなければならない。国際大会で上位の成績を残したスポーツ選手や伝統芸術家は、才能を活かせるよう軍隊には入らず、役所や福祉施設などで代替勤務をする「代替服務制度」があるが、大衆文化には適用されないため人気絶頂のアイドルや俳優が兵役で活動休止せざるを得なくなる事例はよく見られる。入隊日や除隊日には、ファンが部隊の前まで見送りや出迎えに行くのは恒例行事だ。

 BTSでは、年長のJINから順に兵役義務を果たすことになる。JINは大学院に進学したこともあり2021年末まで入隊を延期できる見込みだが、いずれは兵役に就かなければならない。「ピアノコンクールで1位になると代替服務制度が適用になるのに、米ビルボードで1位になり、莫大な利益を国にもたらしたBTSが適用対象外になるのはおかしい」と憤慨するARMY(BTSのファンの呼称)は多く、「兵役免除」や「特例」を求める声も日に日に強まっている。

 少年だったK-POPアイドルたちが兵役に行くと、規則正しい生活の影響なのか、肌はさらにつるつるになり、筋肉も付いてたくましくなる。「自分を振り返る時間になった」と話すアイドルもいることを思うと、兵役を経験するのも悪くないのかも、と思ってしまうが、人気絶頂の20代の大事な時間を軍で過ごすとなると、人気に影響が出るのは必至だ。

 個人的には、BTS程のスターなら、兵役にはきちんと就いて、軍人として世界平和のために国連のような国際機関で奉仕活動をするとか、その手段として音楽活動を続けるのも悪くないと思う。今のところ、BTSメンバーが兵役を免除される可能性は低いものの、韓国の国会議員らもBTSの兵役に関心を持ち制度改善に動いているようだ。ファンの前から姿を消すことなく兵役の義務を果たせる日も来るかもしれない。

【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン