トランプ大統領一族の内幕を描いた本の著者で、大統領の姪のメアリー・L.トランプ氏(Avary L. Trump)

メアリー:彼らとの付き合いではドナルドはパワーレスで抗弁できない人間としてふるまっているのです。これを見ても分かるようにドナルドはいかに力(権力)というものに価値を置いているかが分かります。興味深いです。

 ところが問題なのは、ドナルドは力というものが何であるか、全く理解していないという点です。

「強い女性」が苦手

──トランプ大統領の女性観について伺います。トランプ大統領は結婚を3回しています。トランプ氏の女性観についてどうお考えですか。

メアリー:ドナルドのように大金持ちには(女性に対して)ある種のステレオタイプがあります。金持ちの中高年男性は、究極的には自分よりもずっと若くて綺麗な女性をはべらせたがる人が少なくありません。ですから(トランプ大統領が年の離れた女性を妻にすること自体)とくに珍しいことではありません。

 問題はドナルドの女性に接する態度です。おそらくこれは幼少の時の生活環境と直接因果関係があるのだと思います。トランプ家は物凄い女性蔑視の家庭でした。私の祖父(トランプ氏の父フレッド)は特にそうでした。女性に対する尊敬の念などはゼロで、女性たちの意見などは完全に無視されていました。女性たちの向上心などは問題外でした。

 ドナルドはそうした家庭で育ちましたし、とくに病気がちの母親との関係は非常に複雑でした。伯母たちから聞いた話では、2歳半の時に、1年ほど重病に罹った母親と接触できなかったことで、自分は母親に見捨てられたと思っていました。しかも母親は、その後もドナルドが受けた傷を癒そうとする努力すらしませんでした。

 ドナルドが13歳の時には家庭でも学校でも手のつけられない悪ガキになっていました。そこで父親はドナルドを寄宿舎制の軍隊式私立高校の放り込んだのですが、その時も母親はドナルドを庇うことなく、父親に掛け合ってくれませんでした。ドナルドは母親に完全に裏切られたと感じたのだと思います。

 父親の女性蔑視とドナルド自身が経験した母親との関係が、やがてドナルドの女性観を形成したのです。女性に対する尊敬の念がまったくないのはそのためです。女性をどう扱っていいのか、わからないのです。

 その反面、ドナルドは強い女性が苦手です。自分に向かってくる強い女性はドナルドを怖気づけさせています。ジョー・バイデン民主党大統領候補のランニングメイトになった(強い女性)カマラ・ハリス副大統領候補とドナルドとの戦いは見ものになってきました。

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