全室にエアウィーヴのマットレスを採用するザ・キタノホテル 東京
前述のように、エアウィーヴはもともと睡眠の質を向上させることをコンセプトにしている。実は、質のよい眠りは、新型コロナ対策にとっても非常に有効だそうだ。アメリカのスタンフォード大学で睡眠医学を研究する西野精治教授は次のように話す。
「人間の体には、体内に入ったウイルスを攻撃して排除するナチュラルキラー細胞(NK細胞)があります。しかし、睡眠不足になるとNK細胞の活性が落ちてしまい、その結果、ウイルスに感染しやすくなってしまう。そのため、睡眠はコロナ対策に限らず、健康を保つために非常に重要なのです」
2万人超を対象に行ったある調査では、睡眠時間と過去30日間の風邪や呼吸器感染症の罹患歴を調査したところ、睡眠と感染には大きな関係があったという。
「5日間睡眠を管理した被験者に試験的にウイルスを感染させたところ、睡眠時間が短い人ほどウイルス感染率が高くなるという結果が出ました。つまり、慢性的な睡眠不足の人は、感染症にかかるリスクが上がってしまうのです」(西野さん)
感染リスクだけでなく、睡眠不足による免疫力低下はワクチンの効果にも影響を及ぼすという研究結果もある。
「通常7時間半~8時間半寝ている人を半分に分け、1つのグループは4時間睡眠に減らし、もう1つは通常通りの睡眠時間を続けます。そして、開始4日目にインフルエンザワクチンを接種してウイルス抗体価(体の中に侵入したウイルスに対抗する抗体の量や強さを表す指標)を調べたところ、睡眠不足グループの方は抗体価が高くならず、免疫がつきにくいことがわかりました」(前出・西野さん)
つまり、将来、新型コロナのワクチンが開発された場合も、睡眠不足によってワクチンの効果が得られないこともあり得るということだ。