この年、日本一に輝いた西武も12ゲーム差をつける独走優勝だった。優勝を決めたのは9月23日と、巨人ほどではないが約1か月のブランクがあった。だが、秋山幸二、清原和博、デストラーデのAKD砲はシーズン同様の活躍を見せた。西武のヘッドコーチだった黒江透修氏は、選手の“意識”を徹底したという。
「選手には、日本シリーズもペナントの延長という考え方を徹底させました。短期決戦だとちょっとした采配ミスやエラーで流れが変わるのでペナントの緊張感が持続しているほうがいい結果になるんだと思う。選手は揃っていたので、“昔の巨人は強かったが、今は大したことない”と普段通りの野球を心がけさせた。日本シリーズのことを意識したのはマジックが1ケタになってからですし、優勝後も多少の休養はさせましたが、基本的には主力を試合に出しました」
1990年の明暗は消化試合でのチームの意識という極めて微細なところで分かれたといえそうだ。今季の原巨人も“勝負はこれから”かもしれない。
※週刊ポスト2020年10月9日号