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共に独走した90年日本シリーズG対L対決 勝敗を分けたもの

1990年の日本シリーズでは西武にあって巨人になかったものがあるという(時事通信フォト)

 過去13年間でリーグ優勝8回、日本一3回の原辰徳監督のキャリアのなかでも、今シーズンの独走ぶりは特筆すべきものだろう。視線はすでに8年ぶりの日本一へ──。だが、実は「独走」と「日本一」は必ずしも結びついているわけではない。

 1990年、藤田元司監督率いる巨人は2位に22ゲーム差をつける歴史的圧勝で9月8日にリーグ3連覇を果たした。それから42日後に開幕した日本シリーズでは、西武に4連敗して日本一を逃した。当時を振り返ってみよう。

 1990年の巨人は最多勝と防御率の二冠の斎藤雅樹を筆頭に桑田真澄、木田優夫、香田勲男、宮本和知の先発5本柱がそろって2ケタ勝利をマーク。盤石の布陣のはずだった。投手コーチだった中村稔氏が言う。

「第一戦に斎藤ではなく終盤に調子を上げた槇原寛己を先発させたんですが、初回に3ランを打たれて出鼻をくじかれた。二戦目以降は斎藤、桑田、宮本を先発させましたが、流れを引き戻せずに終わりました」

 打撃コーチだった淡口憲治氏も、調整の難しさを振り返る。

「投手以上に打者の調子を維持するのが難しい。実戦感覚を失わないように紅白戦やシート打撃をしますが、真剣勝負とはわけが違う。それに、豊富なデータを揃えられたものの、消化不良のままシリーズに臨んでしまった。時間があり過ぎたことが裏目に出た」

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