はたして、今年の原巨人の独走は「勝てる独走」なのか、「負ける独走」なのか。かつての当事者の予想は非常に厳しいものになった。
「最後まで対戦相手が絞れず、緊張が切れることで疲労が出る」(南海のエースとして日本シリーズで辛酸をなめた江本孟紀氏)
「他の5球団が弱いので楽して勝ってきた。シーズンの経験が出るのが日本シリーズ」(1990年西武コーチとして日本シリーズを戦った中村稔氏)
「パ球団との力の差は大きい。去年まで天敵だった広島が最下位争いしているから独走しているだけ」(1990年日本シリーズで西武のヘッドコーチだった黒江透修氏)
「交流戦なし、CSなしで独走態勢となると調整は大変」(岡田氏)
「先発も菅野(智之)の次が2年目の戸郷(翔征)しか出てこない。ソフトバンクが相手だと昨年の雪辱という重圧もかかる」(広澤氏)
実戦感覚の欠如と、そもそもパとの実力差は大きいという見解だ。
一方、打撃コーチだった淡口憲治氏と達川氏は巨人に期待を寄せる。
「今年は若い選手が多く、オフの練習も当然という意識が強い。1990年のようにモチベーションが下がらないことを期待したい」(淡口氏)
「独走で調整は難しいが、原監督には百戦錬磨の風格がある。一次原政権と違い、捨て試合を作ることも厭わず、巨人の野球を変えた。独走という“ハンデ”で乗り越えられる可能性も感じる」(達川氏)
日本シリーズを見据え、どう采配を振るのか。残るシーズンもまだまだ楽しみだ。
※週刊ポスト2020年10月9日号