スポーツ

新大関・正代誕生の裏で注目を集めていた「照ノ富士の成績」

7月場所では優勝を飾った照ノ富士(時事通信フォト)

7月場所では優勝を飾った照ノ富士(時事通信フォト)

 関脇・正代が13勝2敗の成績で初優勝を果たし、大関昇進を決めた大相撲秋場所。人気力士が脚光を浴びるかたちの結果となったが、協会関係者にとっては様々な局面で気を揉むことの多い場所となった。場所前には玉ノ井部屋で新型コロナ集団感染が発生し、28人の力士が全員休場に。さらに横綱の白鵬と鶴竜が初日から休場し、十両以上で休場した力士は、再出場した霧馬山や琴奨菊を含めて13人を数えた。玉ノ井部屋の十両力士2人も含まれるが、この数字は2010年名古屋場所で野球賭博による謹慎力士10人を含む14人が休場した時に次ぐ不名誉な記録となった。

 両横綱不在のなか、大関陣もピリッとしなかった。休場力士が相次いだことで、朝乃山は不戦勝が2番、貴景勝も同じく不戦勝で1つの白星を拾いながら、両大関は優勝を逃すこととなった。そうしたなかで関係者の注目を集めていたのが7月場所で幕尻優勝(13勝2敗)を果たし、前頭筆頭の地位で秋場所を迎えた元大関の照ノ富士だった。

 初日に貴景勝、2日目に御嶽海とあたって連敗したが、その後は白星を重ねて中日の段階で優勝争いのトップに並ぶ状況となった。幕尻優勝は過去に、2000年春場所の貴闘力、今年初場所の徳勝龍という先例があるが、番付が幕内上位となった優勝の翌場所はいずれも大きく負け越している。照ノ富士が「2場所連続の平幕優勝」となれば、史上初のことだった。

「仮に同じ力士が2場所続けて平幕優勝したとなれば、当然、“上位陣は一体何をやっているんだ”という話にもなってくる。これは協会側にとっては避けたい展開です。一昨年、昨年は関脇以下の力士が優勝したのが年6場所のうち半分を占めた。さらに今年は秋場所前の時点で3場所のうち2場所が幕尻優勝で、いまの大相撲は“番付崩壊”ともいうべき状態になっている。これは2人のモンゴル横綱が休んでばかりなのと、その穴埋めをすべき大関陣の成績が振るわないことの裏返しです。協会に対して“なぜ横綱に出場するよう厳しく指導しないのか”“大関陣は昇進に足る力量だったのか”という批判が向かいかねなかった」(ベテラン記者)

 結局、照ノ富士は「左変形性膝関節症」の診断を受けて13日目から休場となり、史上初の2場所連続平幕優勝が実現することはなかった。ただ、8勝5敗2休と勝ち越しを決めた上での休場のため、来場所の三役復帰は確実視されている状況だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中村雅俊が松田優作との思い出などを振り返る(撮影/塩原 洋)
《中村雅俊が語る“俺たちの時代”》松田優作との共演を振り返る「よく説教され、ライブに来ては『おまえ歌をやめろよ』と言われた」
週刊ポスト
レフェリー時代の笹崎さん(共同通信社)
《人喰いグマの襲撃》犠牲となった元プロレスレフェリーの無念 襲ったクマの胃袋には「植物性のものはひとつもなく、人間を食べていたことが確認された」  
女性セブン
大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)。千葉のビジネス専門学校へ入学しようと考えていたという
「『彼女がめっちゃ泣いていた』と相談を…」“背が低くておとなしい”浅香真美容疑者(32)と“ハンサムな弟”バダルさん(21)の「破局トラブル」とは《刺されたネパール人の兄が証言》
チャリティーバザーを訪問された秋篠宮家・次女の佳子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《4年会えていない姉への思いも?》佳子さま、8年前に小室眞子さんが着用した“お下がり”ワンピで登場 民族衣装のようなデザインにパールをプラスしてエレガントに
NEWSポストセブン
約2時間30分のインタビューで語り尽くした西岡さん
フジテレビ倍率2500倍、マンション購入6.2億円…異色の経歴を持つ元アナ西岡孝洋が明かす「フジテレビの看板を下ろしたかった」本当のワケ
NEWSポストセブン
佳子さまの“着帽なし”の装いが物議を醸している(写真/共同通信社)
「マナーとして大丈夫なのか」と心配の声も…佳子さま“脱帽ファッション”に込められた「姉の眞子さんから受け継ぐ」日本の伝統文化への思い
週刊ポスト
医師がおすすめ!ウイルスなどの感染症対策に大切なこととは…?(写真はイメージです)
感染予防の新常識は「のどを制するものが冬を制する」 風邪の季節に注意すべき“のど乾燥スパイラル”とは?
NEWSポストセブン
真美子さんが“奥様会”の写真に登場するたびに話題に(Instagram /時事通信フォト)
《ピチピチTシャツをデニムジャケットで覆って》大谷翔平の妻・真美子さん「奥様会」での活動を支える“元モデル先輩ママ” 横並びで笑顔を見せて
NEWSポストセブン
クマによる被害が相次いでいる(左・イメージマート)
《男女4人死傷の“秋田殺人グマ”》被害者には「顔に大きく爪で抉られた痕跡」、「クラクションを鳴らしたら軽トラに突進」目撃者男性を襲った恐怖の一幕
NEWSポストセブン