家庭用のカメラ付きインターホンは1980年頃から普及が始まった。それ以前に住宅を持った人は設置していないことも多い

家庭用のカメラ付きインターホンは1980年頃から普及が始まった。それ以前に住宅を持った人は設置していないことも多い

 警察によれば、逮捕された埼玉在住の2人組の男らに面識はなく、SNS上に紹介されていた『高額アルバイト』に応募、その後は文章や画像が一定期間すると消去されるメッセージアプリ『テレグラム』を通じてやりとりをしていたという。さらに、男らは事件当日、東京・池袋駅で初めて落ち合ったというから、犯行は極めて場当たり的であった。近隣住人の証言からも、そのずさんさが浮かび上がる。

「嘉島さん宅のすぐ近くにある防犯カメラに犯人の男2人がバッチリ映っていたようで、警察の方が見覚えはないかと聞き込みに来られました。特殊詐欺とかアポ電強盗とかあって怖いねって話していた矢先の出来事。あんなに堂々と、しかも派手な私服姿で来るなんて」(近隣住人)

 若い人が出て行き、高齢者だけが住む住宅も少なくない同エリア。ちなみに嘉島さん宅へは、事前に「アポ電」らしき電話がかかってきていたことが確認されている。また、インターホンはカメラ付き、立派な自宅であり、側から見ると資産家の家にも見える。さらに嘉島さん以外に子供も同居していたのだから、前出2人の被害者の生活環境と比較すると、こちらは単純な「アポ電強盗」の可能性は残るが、高齢者だけが住んでいる、という確認がなされた形跡はない。嘉島さんは肋骨を骨折するなど、一歩間違っていれば命を落とした可能性もあったという。

 最後に訪れたのは、東京都の都心・D区にある大規模分譲マンション。築年数は古いが、最近はリノベーションされた物件に移り住む若い家族も目立つ、典型的なファミリータイプのマンションだ。

「資産があるわけでもないし、一人暮らしです。アポ電なんかかかってきた記憶はありません」

 筆者の取材にこう答えたのは、点検強盗に押入られたというこのマンションの住人・橋場幸一さん(90代・仮名)。一人暮らしで「消防の検査です」と訪ねてきた男1人を部屋に入れたところ、コンロ周りを点検するそぶりを見せた急に男から顔や胴体を殴打され、骨折の怪我を負う。粘着テープで両手を縛られ、目隠しまでされて、財布やキャッシュカードの場所、暗証番号を聞かれたという。被害額は財布に入っていた約3万円。橋場さんはその後、自力でテープをほどき、通報した。

 そのマンションは古いとはいえ大手建設会社系の管理会社が管理、日勤管理人もいるという大規模マンションである。防犯カメラはエントランス付近に2箇所、エレベーター内にもある。セキュリティ対策がまったくなされていない、というわけではなかったものの、マンション住人は「穴だらけ」だと話す。

「防犯カメラはあるが、死角が多すぎる。カメラを避けて、外階段で誰でも部屋の前まで行ける。古い住人も多く、お年寄りの一人暮らしのお宅なんかだと、呼び鈴があるだけ、玄関にはインターホンもカメラもない」(マンション住人)

 容疑者の男は事件から二週間弱で、逮捕された。

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