くま川鉄道で2020年3月まで観光列車「田園シンフォニー」として運行されていた車両は「ななつ星in九州」などで知られる水戸岡鋭治氏デザイン(時事通信フォト)
想定以上に好評を博している鉄印帳だが、これまでにも鉄道各社はマンガやアニメの人気キャラクターとコラボしたスタンプラリーを実施している。そうしたスタンプラリーも好評だったが、鉄印帳の反響はそれらを上回る。担当者は、鉄印帳がヒットした要因を、
「スタンプラリーはスタンプラリーの楽しさがあると思いますが、鉄印帳はお客様と駅員の接点をつくるコミニュケーションツールだと考えています。自動改札の普及や無人駅の増加によって駅で人との接点が薄れていく中、窓口で駅員と会話を交わすことは貴重な機会になっています。そうした体験も含めて、旅行者や鉄道ファンに喜ばれていると感じます」(同)
と分析する。
鉄印を集める旅は、もちろん個人でもできる。鉄道ファンは時刻表を使って自分で旅行プランを組み立てることを楽しみのひとつにしている。計画から行動まで個人プレーになれている彼らのいつもの行動パターンを思うと、旅行代理店が用意するパッケージツアーに関心を寄せることは少ないだろう。
しかし、読売旅行や日本旅行のパッケージツアーには、日頃は立ち入ることができないバックヤードを見学できる商品も用意されている。
コロナによって苦境に陥る観光・旅行業界を救済すべく、政府は7月22日からGoToトラベルキャンペーンを開始。これまで除外されていた東京発着のツアーも10月1日から対象に加えられた。今後、鉄道旅行の需要は増えてことが予想される。
ハンコ不要の世論は高まりつつあるが、それらに反して鉄道業界ではハンコが救世主になりつつある。いまだコロナへの警戒は怠れないが、これを機に鉄道事業者は反転攻勢に打って出られるか?