飲食店の店員を優先することも一つの手
それでは、成人・若年者へのワクチン接種は、単に一律に後回しということでよいだろうか? これを考えるには、重症化を防ぐ観点と感染拡大を防ぐ観点の2つがポイントとなるだろう。
重症化を防ぐ観点からは、高齢者や基礎疾患を有する人へ感染させるリスクを見越して、これらの人と一緒に暮らしている人を優先対象とすることが考えられる。また、高齢者施設や障がい者施設等で従事する人をはじめ、高齢者等と接する機会が多い職種の人(たとえば、カルチャーセンターの職員、シニア向けツアーの添乗員など)を優先することも考えられる。
一方、感染拡大を防ぐ観点からは、クラスター発生の危険性がある飲食店の店員や、人と会う機会が多いセールスパーソンなどを優先することも一つの手かもしれない。仲間と交流する機会の多い学生などの若年者を優先すべきかどうかも、さらに検討が必要となるだろう。
いずれにせよ、ワクチンがいつ承認されるのか、量産は予定通りに進むのかなど、ワクチン流通の時期や規模が、優先順位を検討するうえでの前提となることは間違いない。
成人・若年者の場合、新型コロナのワクチンができて投与が始まったとしても、すぐには接種が受けられないことも考えられる。それまでは、手洗い、咳エチケット、3密の回避など、現在の感染拡大防止策を続けるしかなさそうだ。