10代から世話になっている「つる居」の前にて。祇園では、芸舞妓同士やご近所、関係者で丁寧な挨拶が交わされる

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 京都府は、4月17日から5月31日にかけて緊急事態措置を打ち出し、五花街で構成する「京都花街組合連合会」は、返杯や回し飲み、お座敷遊びの禁止、換気や検温、手洗いの徹底など、独自の指針を発表した。

「芸妓や舞妓が白塗りした場合、マスクをするのんは難しおす。どうしたって髪や化粧が崩れますので。そやから、お座敷では距離をしっかり空けます。10人以上の会合は禁止どすし、滞在も2時間までどす」

 当初、新しいルールへの戸惑いもあったが、紗月さんは前向きに捉えている。

「お座敷遊びができないのはさみしおす。場が静かになったとき、今までは『お遊びでもしまひょか!』と言えた。お遊びは、距離が縮まって盛り上がるんどす。それでも宴会がゼロのときの人恋しさに比べたら、今はほんまに幸せ。最近になってお稽古がいつも通り行なわれるようになりましたし、これまで以上に、気持ちを込めて芸を届けたいと思てます。全国の皆様、コロナ禍が落ち着いたら京都へおこしやす」

【プロフィール】
紗月(さつき)/1994年生まれ、大阪府出身。中学校を卒業後、京都・五花街の1つである祇園甲部の屋形(置屋)「つる居」に所属。2011年に舞妓となり、2015年に芸妓に襟替。現在は独立し自前の芸妓として活躍を続ける。

■撮影/榎本壮三

※週刊ポスト2020年10月16・23日号

祇園甲部歌舞練習場前にある「ライカ京都店」へ寄り道。自粛前は観光客で道が埋まっていたという

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