芸能

芸歴58年、傘寿を迎える俳優・石坂浩二が語る役作りへの執念

石坂浩二が語る「役者として心がけること」

石坂浩二が語る「役者として心がけること」

「あれっ、ここ『犬神家の一族』の記者会見で来た場所じゃないかな。そうそう、この辺に市川崑監督や角川春樹さんと並んでね……」

 この日、撮影のため訪れた洋館で懐かしい記憶が甦り、楽しそうに館内を散策し始めた石坂浩二(79)。奇しくも公開中の出演映画『みをつくし料理帖』で監督を務めた角川との想い出の場所とあり、口調も軽やかに作品へ込めた想いを語った。

 同作は江戸・神田の蕎麦処「つる家」で女料理人として働く澪(松本穂香)が様々な苦難を乗り越えながら、天性の料理の才で運命を切り拓いていく人情噺。石坂はつる家の店主・種市として両親を失った澪を温かく見守り、その腕を見込んで亡き娘の名を冠した大事な店を託す決心をする。

「お澪に店を継いでほしいと伝える時に、初めて自分には娘がいて、亡くなったと打ち明ける。晩年の種市にとってはやっと自分の夢を見つけたという喜びもあって真剣な一場面です。普段は眼鏡をしている種市もあの瞬間ばかりは“素”の自分でお澪と向き合いたいと考え、眼鏡を外すんです」

 劇中で眼鏡を外し、少年のような純な眼差しで“年寄りの本気の夢”を語る姿に胸が熱くなる。聞けば眼鏡は石坂の発案なのだとか。

「江戸時代、若い遊び人に眼鏡がちょっと流行ったんですよ。で、生粋の江戸っ子の種市の遊び心としてかけたい、眼鏡を外す仕草もどこかで取り入れたいと監督に申し上げたんです」

 着眼点がまた博識の石坂らしい。そんな石坂が役者として心がけることとは。

「周囲が言うところによると、好奇心が人より強いのかもしれません。もっと言えば物を観察することに飽きないこと。何を見るにしてもフッと無意識に目を向けるのではなく、短い時間でも執着して見つめる。すると『これは江戸時代の器だな』なんて発見に繋がります。その好奇心が台本に執着して役を作りあげる作業に通じているのでしょう」

関連記事

トピックス

高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
トランプ米大統領によるベネズエラ攻撃はいよいよ危険水域に突入している(時事通信フォト、中央・右はEPA=時事)
《米vs中ロで戦争前夜の危険水域…》トランプ大統領が地上攻撃に言及した「ベネズエラ戦争」が“世界の火薬庫”に 日本では報じられないヤバすぎる「カリブ海の緊迫」
週刊ポスト
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン