若者のアイコンへと進化した(Getty Images)
アニメソング評論で知られる音楽評論家で、音楽プロデューサーの冨田明宏氏は、LiSAがアニメファンに支持された理由をこのように分析する。
「そもそもLiSAというシンガーの物語は、デビューを夢見て岐阜県から単身上京したところから始まっています。以前に私がパーソナリティを務めていたラジオ番組にゲスト出演した際、アマチュア時代にいくつものアルバイトを経験しながらライブのチケットノルマを達成するための苦労の日々を、涙ながらに語ってくれたことがありました。そんな彼女はいわばアニメ/アニソン業界に見つけてもらった存在。その感謝の念は深く、そのスタンスも多くのアニソンファンを惹きつけました」
その上で、アニメファン以外からも支持を集めるスター性についても指摘する。
「2011年にソロアーティストとしてデビューを飾ると、今度は彼女のアニソンらしからぬロックな音楽性と個性的なファッション、そしてTwitterにおけるポジティブなメッセージ等がJ-ROCKリスナーや女性層にまで伝播。テレビ朝日『ミュージックステーション』への出演や、アニソンでは異例ともいえるロックフェスへの参戦も果たし、さらにはファッション誌などに登場する機会が増えると、瞬く間に若者世代を代表するポップアイコンとしての地位を築き上げました。
オタク層も一般層も巻き込み不動の人気を勝ち得たアーティストは彼女だけ。さらにはアニソン=オタクの音楽のイメージを刷新したことも、彼女が成功した由縁かもしれません」(冨田氏)
確かな歌唱力で、もともとJ-ROCK界からの評価も高いLiSA。アニメファン以外からも本格的に“発見”され、さらなるブレイクを遂げることだろう。
●取材・文/原田イチボ(HEW)