水戸の偕楽園は梅の季節に限らず風光明媚な姿を見せる

 世帯あたりの自動車保有台数からもわかるように、茨城県民の生活ぶりは豊かだ。一人当たり県民所得は全国7位で、それを支える大きな要因のひとつが豊かな農業・漁業生産だ。農業産出額は全国3位(最近、鹿児島に抜かれた)、漁獲量は全国5位で、「みかんの北限、りんごの南限」と言われることもあるように、多種多様な品目が生産されている。それだけ県民の食文化も豊かだと言える。

 のんびりした農業県のイメージが浮かぶが、一方でつくば研究学園都市を抱えるように、先端技術研究や学術分野でも優れた才能が集まる。その影響かは定かでないが、全国学力・学習状況調査では、小中学生の学力が全国14位で、これは関東地方では東京に次ぐ2位(東北や中部・北陸で高い傾向がある)である。

 前出・青木氏は、これまで魅力がないと言われてきた理由について、観光県ではないことが影響したのではないかと推測するが、最近は大洗がマリンリゾートとして若い世代に人気を博しているほか、万葉集では富士山に次ぐ登場回数を誇る筑波山や、日本三名園のひとつである「偕楽園」、日本三大名瀑のひとつである「袋田の滝」など、実は見どころもたくさんある。

 茨城は、実はとても豊かで魅力的、住みやすい県だったのである。なお、『週刊ポスト』10月26日発売号では、代わって最下位に落ちた栃木県との熾烈なライバル関係をリポートしている。

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