スポーツ

1991年、古田vs落合の首位打者争い 「1試合6四球」の裏側

古田のチームメイトだった広澤克実氏が当時を振り返る(写真/共同通信社)

古田のチームメイトだった広澤克実氏が当時を振り返る(写真/共同通信社)

 毎年この時期になると、プロ野球の世界ではタイトル争いが白熱してくる。過去には歴史に残るバトルもあった。貴重な証言を紹介する──。

 1991年、ヤクルトの古田敦也が中日の落合博満の打率をわずかにリードして迎えたプロ野球シーズン終盤の直接対決。ヤクルトの野村克也監督は古田を欠場させ、落合にプロ野球新記録となる1試合6四球を与えた。その後の試合で落合が逆転するも、最終戦に出場した古田が再逆転で首位打者を獲得した。当時、古田のチームメイトでこの年の打点王に輝いた広澤克実氏が証言する。

 * * *
 ペナント最終盤に古田の打率が落合さんよりわずかに上だったので、本当は最終戦も休むはずでした。野村さんはああ見えて優しいところがあり、自分も現役時代に激しいタイトル争いをしたので、愛弟子、それも同じ捕手の古田に何とかタイトルを取らせてあげたかったんです。選手も同じで、チーム全員が古田に首位打者を取らせたいと思っていた。

 だからこそ、中日とヤクルトの最終戦では批判を怖れることなく、落合さんを全打席で敬遠した。

 ところが落合さんが広島とのダブルヘッダーで6打数5安打の固め打ちをして、首位打者に躍り出た。古田が再逆転するには最終戦に出てヒットを打たなくてはなりません。

 強いプレッシャーの中、試合前の古田は緊張しながら準備していた。

 迎えた最終戦の1打席目で古田はヒットを放ち、落合さんをわずか3毛差でかわし、見事に首位打者になりました。

 周囲は消化試合で気が抜けていましたが、あの重圧の中、よく打ったものだと思う。

※週刊ポスト2020年11月6・13日号

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト