ライフ

緑内障治療の選択肢が広がる低侵襲の「眼内ドレーン挿入術」

緑内障治療の新しい手術にはどんな利点が?(イラスト/いかわ やすとし)

緑内障治療の新しい手術にはどんな利点が?(イラスト/いかわ やすとし)

 早期から中期の緑内障で、白内障も併発の患者に対し、新しい手術が実施されようとしている。それがアイステント・インジェクトを用いた眼内ドレーン挿入術だ。眼内の組織に0.5mmに満たない小さなチタニウム製のステントを2つ挿入し、目の中の房水を排出して眼圧を下げる。眼圧下降効果は高くはないが低侵襲で安全性が高い。白内障の手術と同時に行なうことで、保険診療の対象となる。

 緑内障では眼圧という目の内圧を下げる治療を行なう。1種から複数の点眼薬やレーザーによる治療を行なうが、効果が不十分な場合には手術を実施する。緑内障手術には濾過手術と流出路再建術があり、眼圧は房水の産生と流出のバランスで決まる。濾過手術は新たな流出路(バイパス)を作って房水を強制的に眼外へ濾過させる手術だが、眼圧下降効果が高い反面、重篤な合併症を生じるリスクもある。

 一方、流出路再建術は、もともとの流出路の流れをよくする手術だ。眼圧下降効果は濾過手術に比べ劣るものの、安全性は高い。注目の医療材料のアイステント・インジェクトを用いた眼内ドレーン挿入術は流出路再建術の一つで、小さなステントを房水の流出路に埋入する。

 東京医科大学病院眼科の丸山勝彦准教授に話を聞いた。

「眼内ドレーン挿入術で使用のステントは、日本では2016年に承認された第1世代のものですが、ようやく2019年改良型のアイステント・インジェクトが医療材料として承認されました。これはチタニウム製の長さ0.5mm弱の管で、中央に0.08mmの孔が開いており、これを房水の流出路に2つ埋入すると中央の孔から流出し、眼圧が下降する仕組みとなっています」

 実際の手術では点眼薬で麻酔した後、黒目(角膜)の隅を2mm程度切開、そこから房水の流出路にアイステント・インジェクトを2つ埋入する。ステントは返しが付いている構造のため、一度埋入すると抜けにくい。傷口が小さいので縫合の必要はなく、手術時間も約10分と短いので、患者への負担も少ない。ただし、眼圧下降効果は点眼薬1本分程度でしかないので、早期から中期の緑内障患者が対象だ。

関連記事

トピックス

新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
あとは「ワールドシリーズMVP」(写真/EPA=時事)
大谷翔平、残された唯一の勲章「WシリーズMVP」に立ちはだかるブルージェイズの主砲ゲレーロJr. シュナイダー監督の「申告敬遠」も“意外な難敵”に
週刊ポスト
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト)
《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”
週刊ポスト
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
NEWSポストセブン