トランプ支持の極右団体は重武装で街に集結している(AA/時事通信フォト)

 もうひとつのミネソタは、中西部の北に位置し、伝統的に民主党が強い。近年はアフリカ系に加えてアジア系、ラテン系の住民も増えており、条件的にはバイデン氏に有利である。しかも今回は、一連の「黒人の命は大切」運動の発端となった5月のジョージ・フロイド氏暴行死事件が同州ミネアポリスで起きており、上記6州のなかで最も差が開いているのも、その影響がある。一方で、同州はいわゆる「コーンベルト」に位置しており、主要農産物であるトウモロコシの輸出に関し、コワモテ外交で中国などに米産農産物を買わせるトランプ氏に期待する層も一定程度いる。一方で、バイデン氏は有権者の目を引く政策を示せていない。人種問題から農業振興に視線を向けられれば、トランプ氏にも一縷の望みが残っているだろう。

 これまでもNEWSポストセブンでたびたび指摘してきたが、日本で見ていると「なんであんな男が支持されるのか」と見えるかもしれないトランプ氏も、引き続き多くのアメリカ人がサポートしている。黒人暴行死を見ても、それを人道的に「許せない」と感じる有権者もいれば、「だからといって暴動を起こして商店を襲撃したり略奪したりする左派は許せない」と考える有権者もいる。人工妊娠中絶や銃規制も、日本人が考えるよりも意見は割れるのである。トランプ氏は巧みにアメリカ人を二分するテーマを持ち出し、着実に支持者を獲得する術に長けている。一方のバイデン氏は、そうしたセンシティブな問題で質問されると、優等生ぶってどちらにも配慮した話をして、どちらからも失望される。

「右に振り切ったトランプ」と「左に行こうか真ん中にいようか迷っているバイデン」の戦いだけに、結果が読みにくくなっている。投票日まであと2日。

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