共通テストに参加せず個性貫く慶應
1990年に共通一次試験に代わって初めてセンター試験が実施された。この時から私立大はセンター試験を利用できるようになったが、早稲田大は当初、利用しなかった。最初に利用したのは1999年の法学部だった。
一方、私学の雄の慶應義塾大は、センター試験に初年度から参加した。私立大はわずか16校しか参加しなかったが、その1校だったのだ。また、1990年に日本で初めてAO入試を実施したのも慶應だった。ところが、慶應義塾大は2012年にセンター試験から撤退し、今回の共通テストにも参加していない。
共通テストとセンター試験実施時の早慶の対応が180度、異なっている。平成に始まったセンター試験に最初から積極的に参加した慶應義塾大、令和に始まる共通テストに最初から積極的に参加する早稲田大と両極端の対応だ。
慶應はいま流行りの民間英語試験を一般選抜に活用することもなく、従来の方式のままだ。それが逆に大学の個性になっている。
来年入試は安全志向が強まり、難関大は敬遠されると見られているが、その中で早慶両校の志願者数がどうなるのか、大きな注目が集まりそうだ。
●文/安田賢治(大学通信常務取締役)