国内

投票「不正」訴える人たちが増加 陰謀論はなぜ蔓延るのか

「大阪都構想」の是非を問う住民投票の投票用紙を受け取る有権者(右)(時事通信フォト)

「大阪都構想」の是非を問う住民投票の投票用紙を受け取る有権者(右)(時事通信フォト)

 陰謀論なんてくだらない、と普通の状態なら誰もが言うだろう。ところが、自分が期待しないことが起きたとき、人は簡単に「何か陰謀があるのではないか」という考えにとらわれてしまう。とくにSNSは陰謀論を正当な意見だと自己暗示にかけてしまう装置のような役割を果たすらしく、大阪都構想の住民投票をきっかけに、選挙のたびに聞かれる「不正」の噂が飛び交い、アメリカ大統領選挙でも同様だ。出口調査や開票作業への不信感は、なぜ拭えないのかについてライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
「大阪都構想」が僅差で否決されたことを受け、大阪市長の松井一郎氏は「完全敗北」を認めた上で大阪維新の会代表の辞任と、市長任期満了後の政界引退を発表した。同じく代表代行の吉村洋文・大阪府知事も「都構想に再挑戦することはない」と明言、一応のケリがついた格好ではあるが、清々しく結果を受け止めたという雰囲気が広がっているとは言いがたい。賛成67万5829票、反対が69万2996票とその差は、わずか1万7千票。これを受けてか、ネット上には、とある「ウワサ」が飛び交っている。

「最近の選挙には特に『つきもの』なんですが、不正があったのではないかという声が、ネット上だけでなく、支援者の間にも広がっています」(大手紙記者)

 アメリカ大統領選挙でも同様の現象が発生。候補者だけでなく、支援者同士が「相手が不正をしている」と罵詈雑言を浴びせあい、一部の州では大幅に開票作業が遅れた。結局「当選確実」が出たのは、投票から5日後。そして結果が出ても「不正があった」という理由から、敗者が「訴訟合戦」を展開するだろうと言われている。アメリカ大統領選挙では、以前も本当に訴訟沙汰になっているから、単なるこけおどしとも思えない。

 我が国でも、選挙のたびに「不正である」と叫ぶ人が増えてきたように思えるが、それはなぜか。「都構想」に賛成だという大阪市民に話を聞いてみると、確かに憤っていた。いわく「出口調査なんか信じられない」のだとか……。

「投票所だった近所の学校に行ってきましたけど、調査なんかされてへん。毎回選挙の時、テレビでは出口調査では、ってやりよるでしょう? あんなもん、一部の会場で一部の人にしか聞かへんのに、なんか小細工しよんのんとちゃうか、て思うよね。そもそも『どこに入れましたか』聞かれて、私ならぜったい言いません」(大阪市民)

 ほぼ全ての選挙の結果が、投開票のたびにメディアで報じられる「出口調査」通りになるのはおかしい、という見方である。選挙特番プロデューサーを何度も務めた経験がある、現役テレビ局員が解説する。

「出口調査は、みなさんが想像する以上に人員を投入してやっています。衆参同時選挙、みたいな超大型選挙になると、千人単位で調査員を確保し、投票所に配置します。投票日に向けて、投票会場の責任者に調査の許可どりをしたり、それこそ調査員にトイレを貸して欲しいというお願いまでする。準備は大変です」(現役テレビ局員)

関連キーワード

関連記事

トピックス

バラエティー番組『孝太郎&ちさ子 プラチナファミリー 華麗なる一家をのぞき見』
コシノ三姉妹や石原4兄弟にも密着…テレ朝『プラチナファミリー』人気背景を山田美保子さんが分析「マダム世代の大好物をワンプレートにしたかのよう」
女性セブン
“アンチ”岩田さんが語る「大谷選手の最大の魅力」とは(Xより)
《“大谷翔平アンチ”が振り返る今シーズン》「日本人投手には贔屓しろよ!と…」“HR数×1kmマラソン”岩田ゆうたさん、合計2113km走覇で決断した「とんでもない新ルール」
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン
ガールズメッセ2025」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
佳子さまの「清楚すぎる水玉ワンピース」から見える“紀子さまとの絆”  ロングワンピースもVネックの半袖タイプもドット柄で「よく似合う」の声続々
週刊ポスト
永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン