実際にかなりの人員を割いて調査をしていることは確からしいが、それでも「出口調査」通りの投票結果になるのは不自然ではないかと、選挙特番放送直後のテレビ局には、何百という苦情の電話が寄せられることもあるという。
「調査員が調べた情報を、統計学にのっとり計算し導かれた答えが出口調査の結果として反映されます。調査員も、有権者の10数人になんとなく聞きました、ではなく数百人にしっかり聞き取りをしているので、よほどのことがない限り、データの読み違えは発生しません。この手法を使って、テレビや新聞の世論調査も行われているのです。こうしたことを丁寧に説明する場合もありますが、ほとんどの視聴者はいきなりキレていて話ができない。泡沫候補の支援者の中にも同じような人がいて、テレビ局が票を隠していると社に乗り込んできたこともあります」(現役テレビ局員)
「信じたいものしか信じない」という人たちが、まず「疑問ありき」で疑惑のタネになりうる何かを探し始める。その疑惑のタネも、実は何ら根拠のあるものではなく、例えばどこの誰が書き込んだかもわからないネット上の情報が、伝聞の中でいつの間にか「事実」に偽装されたものであり、嘘のための嘘、に他ならない。だが、その伝聞は嘘だったと検証をすることすら「不正」と逆上されると、もう放っておくしかないが「放っておけば、混乱は拡大するばかり」というジレンマも抱えていると話す。
さらに都構想選挙では、別の疑問を感じた人もいた。「都構想」には反対だったという大阪市在住の男性会社員(40代)は、世論調査がある程度「確か」だったとしても、拭えない疑問があるという。
「今回、票差が1万7000。合計140万近い票数があったのに、NHKは開票率80パーセント半ばでいち早く『反対多数確実』と報じました。反対派としては嬉しかったですが、開票が進んで賛成が逆転する可能性もあるんじゃないかと気を揉みました」(男性会社員)
もし自分が逆の立場なら、いち早く「反対多数確実」を速報したNHKは「票数工作に加担している」と考えるかもしれないという男性。確かに、今回の投票では開票率が90%であったとしても約126万票。残りの14万票が開票されるまで、結果はどちらに転ぶのかさっぱりわからない、そんな状況になりそうな気もするのは安直すぎる考え方なのだろうか。