年賀状を卒業するなら気をつけたいこと
年賀状をやめるかどうかを考えるとき、忘れてはいけないのは相手がいるということ。
「“やめる宣言”を受け取った側は切り捨てられたと感じる人も少なからずいるようです。年賀状はお互いのつながりを象徴するものですから、相手にもできるだけ自分の選択を受け入れてもらえるよう配慮しましょう。
そのためにも、やめる理由をはっきり書くこと。「高齢のため」「傘寿を機に」「体力の衰えを感じて」などと、共感されやすい内容がおすすめ。
また、印刷の文面だけではなく、ぜひ手書きのひとことを添えて。直筆の手で書いた文字はその人の表情も伝えるので、機械的に切り捨てられた感じがしません。
年賀状をやめてもつきあいを続けたいなら、積極的にアピールを。コロナ禍でつながりが断たれた今年、自分から動かなければつながれないことを実感しました。絆を守るにも努力が必要です」
この年末年始は、ぜひ老親に届いた年賀状をチェックしてほしいと言う澤岡さん。
「親の交友関係を知っておくことは、年を重ねるごとに大切になってきます。“この人はどんな人?”と具体的に聞いて、要介護など親の状態が変わってきたとき、力になってくれそうな人を見つけておきましょう。自分の大切なつながりについて話すことは、親にとってもうれしいはず。そして年賀状をこれからどうしていきたいか、相談に乗ってあげてください」
【プロフィール】
澤岡詩野(さわおかしの)/ダイヤ高齢社会研究財団・主任研究員。専門は老年社会学。ハードとソフトの両面からコミュニティーを考える視点から、緩やかな人間関係が生まれる場のあり方を模索。著書に『後悔しない「年賀状終活」のすすめ』(カナリアコミュニケーションズ)がある。
取材・文■斉藤直子
※女性セブン2020年11月26日号