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上手な「卒・年賀状」術 理由はハッキリ、手書きの一言を

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「年賀状を出さねばならない」という呪縛から自分を解き放とう(イラスト/鈴木みゆき)

 急速に高齢化が進む日本社会。寿命が延びたことで、健康やお金のことなど不確定要素が増え、高齢者本人は“どんなふうに生きたらよいか”という不安を抱くことも多い。そんななか、高齢者に対して、社会参加や人との交流が盛んにすすめられている。

 老年社会学のを専門とするダイヤ高齢社会研究財団・主任研究員の澤岡詩野さんはいう。

「もちろん、つながりや生き甲斐は生涯にわたって大切です。ただ、年を重ねていくと、自然と人間関係は閉じていきます。専門的な用語でいうと社会情緒的選択理論といって、若い人は自分に有意義な情報を獲得するよう人間関係を築いていくのに対し、高齢になると親密で心地よい、安心感のある閉じた関係に向かって選択的に削減していく」

 毎年の“年賀状”については、そういった流れに従い、段階的に縮小するのが、ストレスも少ないようだ。多くの高齢者への取材を重ねて年賀状に関する著書がある澤岡さんはこう話す。

「実際に年賀状についてインタビューしたかたがたも、定年退職後、まず仕事でしかつながっていない人を削り、そこから毎年、いまの自分にとって意味があると思う人、つながっていたい人を残して少しずつ減らしている人が多かった。たとえば年に1回も会わないけれどいつも心の奥にいる友達、施設に入ってしまったけれど敬意を伝え続けたい先輩……こうして厳選した少数のつながりこそ、人生を豊かにしてくれると思うのです」

 年賀状を出すことをやめるというより、“出さねばならない”という呪縛から、自分を解き放つということだ。その上で改めて、つながりたいと思う相手を丁寧に選んでいくことが大切だという。

「つながり方として、年1回の年賀状という定型を利用するのはおおいにアリです。逆に年賀状でなくてもいい。型にはめず “あなたが大好きだったすいかが店頭に出たので思い出して筆を取りました” などと年1回くらい、気ままに書いている人もいます。年賀状をやめてみたら正月が寂しくて、ちゃっかり再開したという人も(笑い)。年賀状を出すのも出さないのも、相手も書き方も自由。義理や儀礼に縛られず、自分の心地よさを優先していいのが高齢期の素晴らしいところなのですから」

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