国際情報

あの当選請負人が「ジョージアの陣」でトランパーを動かす!

「敵と味方」をきっちり分ける選挙戦術の祖とされるロープ氏(CNP/時事通信フォト)

「敵と味方」をきっちり分ける選挙戦術の祖とされるロープ氏(CNP/時事通信フォト)

 米大統領選挙は、いまだに最終結果が出ていない。しかし、バイデン氏の勝利はもはや動かないと見てよいだろう。トランプ大統領は、この事実を認めず、引き継ぎをしないという態度を続けているが、日ごとに追い詰められてきた。アメリカの政治闘争の主戦場は、すでにジョージア州の上院決選投票に移った。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏が、この新しい戦場の驚くべき陣容をリポートする。

 * * *
 大統領選と同時に行われた上院選では、100議席中35議席が改選された。その結果、現在までに確定した議席数は共和党50、民主党48となり、残る2議席は来年1月5日に行われるジョージア州の決選投票で決まる。同州では、現職で共和党のデイビッド・パーデュー氏と民主党のジョン・オソッフ氏が戦い、パーデュー氏が49.7%を獲得してトップに立ったが、州法で規定する当選条件である50%以上の票を得られずに決選投票にもつれ込んだ。さらに、共和党現職が健康上の理由で引退したことにより、その後任を決める補欠選挙も行われ、やはり両党とも50%を獲得できずに決選投票に臨むことになった。

 もし2議席とも民主党が勝つようなことになると、上院は50対50となり、法案の可否は副大統領が持つ最後の1票に委ねられる。バイデン政権が誕生すれば、ハリス副大統領が決定権を握ることになるわけだ。すると、ホワイトハウス、すでに民主党が過半数を確定させた下院、そして上院のすべてを民主党が握ることになるから、共和党としては最後の砦を死守する重要な戦いだ。

 ジョージア州はもともと共和党が強い地域だが、今回は反トランプ票によって接戦となった。しかし、それでもトランパー(トランプ支持者)がやや上回っていることから、共和党はこの選挙が終わるまではトランプ路線を継承するしかなくなっている。だから、誰もトランプ氏の首に鈴をつけられないのだ。

 そんな「ジョージアの陣」に注目すべき武将が参戦した。選挙の神様、史上最強の参謀と呼ばれるカール・ローブ氏である。ブッシュ親子を大統領に押し上げた鬼才として知られるローブ氏が、共和党の資金集めに協力するというのである。もちろん筆者はそんな名目は信じない。おそらくローブ氏が陣頭指揮を執り、絶対に落とせない2つの議席を確実に獲ろうという算段だろう。

 ローブ氏は、一部では“バカ息子”呼ばわりされていたブッシュ氏(子)をテキサス州知事に押し上げ、さらに2000年、2004年の大統領選挙に勝たせた。特に2000年の選挙では、クリントン政権の副大統領として人気があったアル・ゴア氏を相手に、徹底したネガティブ・キャンペーン、弱みを攻撃し続ける執拗な戦略で勝利した。ブッシュ氏はローブ氏を「The Architect(設計者)」と呼んだ。日本風に言えば「当選請負人」といったニュアンスだろうか。

関連記事

トピックス

11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さんが今も築地本願寺を訪れる理由とは…?(事務所提供)
《笑福亭笑瓶さんの月命日に今も必ず墓参り》俳優・山口良一(70)が2年半、毎月22日に築地本願寺で眠る亡き親友に手を合わせる理由
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン