だがその数か月後、世の中はコロナ禍に見舞われて一変してしまった。時代や状況が変化すれば、“面白さ”や“新しさ”の基準も変わるものである。かつて視聴者を笑いの渦に巻き込んだテレビ番組が、今ではコンプライアンスに引っかかるという事例も少なくない。ミルクボーイの漫才は、これからも新鮮な笑いを届けてくれるのだろうか。ラリー遠田氏が語る。
「2019年の『M-1』で活躍したかまいたちやぺこぱは、今年に入ってからも数多くのバラエティ番組で活躍しています。彼らはキャラクターに魅力があってタレント向きの人材だったからです。
一方、優勝したミルクボーイは、どちらかと言うとキャラクターよりも漫才の実力を評価されているタイプです。漫才の型がしっかりしていて、そこに当てはめることでどんな題材でもネタに取り込めるため、CMの仕事も数多くこなしています。彼らには揺るぎない漫才の実力があるため、コロナ禍の中でも安定して仕事を続けていくことができました。今後もその地位は安泰でしょう」
落語研究会に所属していた大学時代から磨き続けた“漫才の実力”は、コロナ禍が続くこれからも新鮮な笑いをお茶の間に届けてくれそうだ。
●取材・文/細田成嗣(HEW)