暖房は室内の湿度を低下させるため空気が乾燥し、ウイルスの活性化を招くという悪循環も生じる。
そこで「換気」が重要になるが、実は多くの家庭用エアコンは室内の空気を循環させているだけで換気機能は備わっていない。
厚生労働省は6月に発表した資料で、理想的な換気の方法について「30分に1回以上、数分間窓を全開」「複数の窓があれば2方向を開ける」などを推奨しているが、これは室温の急激な低下を招く危険がある。
前出の阪田氏は北海道のような寒冷地での換気を想定してシミュレーションを行なったという。
「エアコンが2台設置されたオフィスで、窓は2つ。室温は20℃、外気温は0℃の設定です。そこで2つの窓を『全開』にした場合、3分後には空気の42.7%が入れ換わったものの、室温は10℃以下まで下がってしまいました。
一方、片方の窓だけを5センチほど開けた場合は、5分後に空気の12.5%が入れ換わり、室温は15℃以上を維持しました。無理なく換気するためには『エアコンの暖房を使用したまま窓を常に5センチだけでも開けておく』ことで、換気と暖房の両立がある程度まで可能になります」
※週刊ポスト2020年12月11日号