国内

森永卓郎氏も苦言「コロナに踊らされて情報が見えない人々」

森永卓郎氏は「東京に行かない生活」を選んだ(時事通信フォト)

森永卓郎氏は「東京に行かない生活」を選んだ(時事通信フォト)

 コロナ禍でその人の本質が見えてしまうという話は枚挙にいとまがない。『週刊ポスト』(12月7日発売号)では、「第3波で露見した『ざんねんな人々』」と題して、コロナ禍での困った隣人や仕事仲間の言動を特集している。同記事でジャーナリストの鳥越俊太郎氏は、問題行動を起こすのはコロナのせいではなく、「その人の本質が現われただけ」と指摘した。もう一歩踏み込むと、科学的にも社会的にも不合理な言動を押し通してしまう人たちに共通しているのは、情報を正確に理解し、冷静に判断することができなくなっていることかもしれない。

 アメリカでは、トランプ大統領の「大統領選挙で大規模な不正があった」という言動には根拠がなく、嘘であることが各地の裁判所や保守系を含むメディア、さらにはトランプ政権の司法省によって明らかにされた。にもかかわらず、諦めきれないトランプ支持者たちは、今も“根拠なき不正”を叫び続けている。その人たちはまた、トランプ氏の「コロナはただの風邪」という言葉にも反応し、マスクも着けずに大集会を繰り返して感染拡大の担い手になってしまっている。トランプ氏自身が、マスクを着用せずに自ら感染し、家族や側近にも感染者が続出しているにもかかわらず、「マスクは不要」が支持者の合言葉になっている。これも、情報を正確に、冷静に判断できなくなってしまった人たちの例だろう。

 新型コロナには、いまだ不明な点が多い。諸説もある。もちろん、「それほど危険ではない」と考える専門家もいる。しかし、感染が起きる仕組みや科学的な実験、統計的なデータから、マスクが感染予防に有効であることは疑う余地がないし、いわゆる「3密」が良くないことも確かだ。そして、それが社会的常識であるならば、皆が未知の病気に怯えているなかで、あえて眉をひそめられる言動は避けるのが社会人としての責任だろう。

 40代のパート女性は、連れ添ってきた夫の言動によって長年の信頼関係が傷ついてしまったという。

「子供のサッカークラブの保護者会で、夫が『コロナはただの風邪』と主張していて……。自分がそう考えるのは自由だけど、周りの人たちに吹聴するのが死ぬほど恥ずかしかった。皆さん社交辞令的に『そういう考えもありますね』と受け流してくれましたが、お願いだからもうやめてほしいと心底思っています」

 家族の中での考え方の違いは深刻な不信感を招く。

「義父が遊びに来た時、家に入る時に手洗いやアルコール消毒はしてくれるけど、そのあとあちこち触った手で、息子に手渡しでお菓子を食べさせる。『お義父さん、手渡しは……』と控えめに注意したら、『さっきアルコール消毒したから大丈夫』と言って、わかってくれません」(40代会社員女性)

 これくらいの食い違いは多くの家庭で起きていると想像されるが、「自分がどう考えるか」と同時に、「相手がどうしてほしいのか」を思いやる心の余裕が必要なのではないだろうか。

関連記事

トピックス

(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト