ライフ

コロナ禍でのがん闘病 認知症の義姉が「治るわよ」と励ます

(写真はイメージ)

苦難は誰かと分かち合うことが大切(写真はイメージ)

 認知症の母(85才)を支えるN記者(56才)が、介護の裏側をつづる。今回は、闘病する義弟を励ます母のエピソードを紹介する。

  * * *
 母の義弟(妹の夫)が80才で食道がんを患った。手術は無事成功したものの、術後なかなか回復できず、コロナ禍中のつらい闘病となった。そんな妹夫婦に、数分前のことも忘れるようになった母が、凜と力強いエールを送った。

やっぱり怖い「がん」 義弟の発病を伝えられず

 母は9人きょうだいで、末妹のMおばさんは、母とちょうど10才違いの75才。母を気遣ってよく電話をしてくれるやさしいおばで、好奇心も旺盛。最近、スマホデビューも果たしたばかりだ。

 姉たちは全員、認知症である。そんな老姉を励ますべく、「Nちゃん、食事会を企画してよ」と言い出すのもMおばさん。コロナ以前は年に1回くらいは顔を合わせていた。

 Mおばさんの夫であるGおじさんが食道がんになったと聞いたのは昨年末。陽気な酒宴好きで、元気な笑顔しか浮かばないので絶句したが、もう80才だと聞いてさらに驚いた。

 しかも手術をするという。若くは見えるが80才は高齢だ。しかし、手術が決まったということは、成功の見込みが高いのか。「生涯で2人に1人はがんになる」とか、「がんは治せる病気だ」などと、もはやがんは“怖くない病気”に分類されているかのようだが、私にとってはまだまだ特別に怖い病気だ。母の年代にはなおのことだろう。 

 MおばさんやGおじさんに比べれば、はるかに衰えて見える母にはついに伝えられないまま、年を越してしまった。

 年明けに手術が無事成功し、退院したとの連絡に喜んだのもつかの間、世の中は新型コロナ感染の混乱に突入。何かと不安な状況の中、Gおじさんの自宅療養をMおばさんがひとりで支えることになった。

 術後しばらくは腸ろうを造設し、口から食べなくなると、とたんに激やせ。足の筋肉が落ちて歩くのもおぼつかないと、Mおばさんのへこみようも相当だった。患部の経過は良好とのこと。しかし、Mおばさんの力ない声が不憫だった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン