こうした「息子から親への苦言」というものでよく知られているのは、高須クリニック院長の高須克弥氏の息子・力弥氏が〈父は相手を挑発する目的で軽々しく差別語を発言する性格で、その点をなんとか改めてもらいたいと思っております〉がまず一つ。そして、森友学園問題の籠池泰典氏の長男・佳茂氏は『籠池家を囲むこんな人たち』という書籍を書くほか、サイトiRONNAでは同書からの抜粋で『籠池佳茂の決意「左翼に洗脳された両親、必ず救ってみせる」』という記事が登場したりもした。さらに、2019年の参院選で安倍晋三氏の街頭演説に訪れた父に対し「選挙妨害して。目を覚ませ!」と声を荒らげる場面も。当然ツイッターでも父には度々苦言を呈してきた。
息子だからこそできることなのかもしれないが、それにしても最近の鳩山由紀夫氏はぶっ飛び過ぎている。「若者たちがGoToキャンペーンでコロナを拡散させて家に持ち込んでいるのではないか」と述べたうえで、「年配者の多い菅内閣、ますます『動か内閣』になる」と若者と高齢者どちらを批判したいのか分からない。さらには、国民全員に無料でPCR検査を受けさせるべき、と非現実的な提案もする。
かつて「ルーピー」と米から呼ばれた天然っぷりは相変わらずだが、トンデモ科学を紹介するなど、一段階上のレベルへ行ったか。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。近刊に『恥ずかしい人たち』(新潮新書)
※週刊ポスト2020年12月25日号