外出している人は「犯罪者」ではない!

 そんな流れをなぜテレビは作ったのでしょうか。見る人たちに「けしからん」と思わせるような映像を送り出した側の「意思」とはなんでしょうか。

 ひとつには「外出する人を減らすための注意喚起」ということになるでしょうか。「こんなことをやってはいけないと世間に認知させる必要がある」ということでしょうか。そのために「外出している人たちを要注意人物として映し出した」ということでしょうか。もしもそうだとしたら、映像を世に送り出す者として大きな過ちを犯していると私は思います。

 なぜならそれは、暴行を働く人、盗みをする人、そういった人物の「悪行を映し出して、こんなことをやってはいけないと世間に認知させるために映像を使うのと同じ意思」が働いているからです。

若者のメッカ、原宿・竹下通りの人出も連日放送された(撮影/内海裕之)

若者のメッカ、原宿・竹下通りの人出も連日放送された(撮影/内海裕之)

 もちろん、犯罪につながる行為は厳しく規制すべきです。映像を使ってその規制を強化することができれば、それは社会貢献になります。しかし、外出は「自粛を要請」されているだけで「規制」も「禁止」もされていないのです。

 国民は「行動の自由」を国家に保証されているのです。外出している人は「犯罪者」でもなければ「規則を守らない人」でもないのです。たとえ外出の理由が遊びであったとしても、たとえそれが感染を広げる要因になったとしても、それを映像表現で規制しようとする意思が働いているのなら、その者が送り出した映像は国民の自由を阻害するものでしかありません。ネット上で話題になった「自粛警察」と、その行為においては同じレベルです。

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