翌日、会社を依願退職し、社宅を引き払った福田さん。その後は、刑務所に入ることもなく罰金刑だけで済んだが、結局妻とは離婚。二人の子供のためにと毎月15万円を仕送りしながら、現在は関東地方で工場内作業員をしつつ、会社が借り上げてくれたアパートに一人で暮らす。
「当時貯金が800万円くらいあったんですが、その分については、警察からも一切お咎めがありませんでした。今の給与は手取りで19万円、そこから寮費などを引いて残った15万円を丸々送っています。自分の生活は貯金を切り崩して……。嘘をついて得た汚い金なんで、仕送りには使えないんですよ」
新型コロナウイルスの影響で、福田さんの働く工場でも仕事がなくなり、月収が3万円ほど下がった。仕送りを12万円に減らすか、貯金から3万円を補填するか、悩みに悩んだというが……。
「かつての貯金から補うことをしたら、また同じ仕事、副業をやっちゃいそうだって思うんです。はっきり言って、同じ方法で私はいつでもお金を稼ぐことができます。情報商材にして売り出してもお金になるでしょう。でも、もう辞めたい。金だけが儲かれば何をやってもいい、という雰囲気、わたしもそういう空気を作った当事者の一人かもしれませんが、もう終わりにしたいんです」
何も生み出さないどころか、騙したり盗んだりして、人の富を吸い上げることを「ビジネス」とは言わない。
そう断言する福田さんは、作業療法士の学校に通いながら、本当に人の役に立つことで生活ができるよう、自身の人生の再スタートを切ったばかりだ。