軽快なやり取りで場を和ませたかと思えば、得意のモノマネも惜しみなく繰り出す。美川憲一、淡谷のり子、三波春夫、森進一、美空ひばり、郷ひろみと次から次へと披露し、最後は勢い余って三波春夫の声で「ジャパ~ン」と呟いた。パーソナリティーが「メッセージも」と言うと、「ソーセージ?」とギャグは止まらない。あまりのボケぶりに、「ちょいちょいボケはる」「結構なペース」と突っ込まれるほどだった。それもそのはず、角川はわずか21分の出演で30回以上(※モノマネ含む)もボケていた。
角川のハッスルぶりは、ラジオだけに留まらない。その6日前、12月19日の歌番組『人生、歌がある』(BS朝日)では、オープニングから派手な赤いジャケットを着用。他の歌手が歌えば「○○ちゃん!」と大きな声援を送り、献身的な一面を見せた(※番組中、全歌手装着のフェイスシールドは角川博のガヤ対策説あり?)。
千昌夫、福田こうへいと3人で『高校三年生』を歌う際には、学ラン姿に変身。イントロが始まり、セットの階段を登っている途中、つまずいて自ら苦笑するというアクシンデントもあった。
だが、ナチュラルなハプニングはこれだけに収まらなかった。『筒美京平トリビュート』のコーナーでは雛壇に座る出演者の前で、筒美京平作曲の16曲が歌われた。トップバッターの野口五郎が『甘い生活』を歌い終え、自分の席に戻る。同じタイミングで『ロマンス』のイントロが流れ、岩崎宏美が前に出てきた。雛壇に座っていた角川博は、野口五郎を通すため、席を立った。
その瞬間、岩崎宏美が〈あなたお願いよ 席を立たないで〉と歌い始めた──。どんなに狙っても、こんなミラクルは起きない。
その後も、田原俊彦が『抱きしめてTONIGHT』のサビでムーンウォークをすると、角川は座りながらそのマネをする“座高ムーンウォーク”を披露。天童よしみ、大月みやこ、松原のぶえ、原田悠里、中村美律子の5人が『なんてったってアイドル』を歌い始めると、五木ひろしと一緒に椅子から転げ落ちてリアクションを取った。そして、『よろしく哀愁』を福田こうへいとともに歌う場面では、終始郷ひろみのモノマネで通し、雛壇にいる野口五郎を爆笑させた。角川は、この番組でも黒と緑の市松模様のスーツを着ていた。歌以外の場面でも、意気軒昂だった。その奥には、こんな哲学が隠されているようだ。