これまでの反省や知見を生かし、適切な対策を講じる自治体や医療機関が現れた半面、準備不足が指摘される地域も少なくない。
「あれだけ医療崩壊の危機が唱えられ、第1波から半年以上の猶予がありながら、北海道旭川の病院ではクラスターが発生しました。明らかな準備不足で、コロナ患者が入院した場合の想定や訓練をしていなかった悪い例です。ただし、感染症の専門医が不足しているので仕方のない側面もあります。
また神奈川では宿泊療養中の患者が亡くなり、広島では自宅療養中の患者が亡くなりました。入院が間に合えば必ず助かるとはいえませんが、医療(行政)側の対処が不適切だったことは明らかで、持病や症状の悪化傾向、定時連絡から確認までの放置時間などを検討すると、入院に切り替えるべきケースでした。それらの準備不足や経験不足の地域で今後、感染が拡大することが懸念されます」(中村さん)
これまで感染が目立たなかった地方も油断は禁物だ。
「群馬や栃木といった東京のベッドタウンでも年末年始に感染が急拡大し、医療提供体制が逼迫している。2県に限らず、今後、高齢者や同居家族が多い地方で感染が爆発し、同じような条件で医療崩壊したイタリアの二の舞になる恐れがあります」(一石さん)
これ以上の被害を避けるためには、リーダーの資質も重要なポイントとなる。
「東京の小池百合子知事は国の対策の不備を批判し、“自分たちは悪くない”という演出を繰り返しています。コロナを食い止めるためにリーダーの指導力は欠かせず、住民は日頃から首長らが何を主張して、どんな施策を進めているのかしっかりチェックしてほしい」(中村さん)
※女性セブン2021年1月21日号