室井滋は“おかか”たちのリーダー・清んさのおばばを熱演(C)2021「大コメ騒動」製作委員会
柴田:そうそう。おばばは長く生きているから「こういうときにはこうするもんだ」という知恵を持っている。おばばに聞けばたいていのことに答えが出てくる、というのはウチも同じでしたよ。映画でも井上真央ちゃん演じるいとの姑・タキの語る言葉に、食卓で家族がじっと耳を傾けるシーンがありましたね。
本木:自分が苦労をした経験を振り返って、おかかはどんな覚悟で家族を守っているかという話をタキは孫たちに伝えるのですが、年長者からそうした体験談を聞く機会は最近少なくなりましたよね。自分もやっぱりじいさん、ばあさん、さらにそのお仲間のネットワークから生き方を学んで育ってきたので大事にしたいと思って、映画にも入れました。
柴田:ネットワークね。よそのお嫁さんにまで説教したりしてね。
室井:ああ、する!(笑い) 自分のところならわかるけど、よその家のお嫁さんや全然関係ない人にも。
柴田:誰にでも、延々と説教を。
本木:おかしいと感じたら、近所の人にもちゃんと意見する。腹に溜めないのが富山の女性ですよね。劇中で、おかかたちが清んさのおばばを囲んで米騒動につながる大事な意思決定をしたときにも、お互いへの不満や気持ちを打ち明け合った。相手が自分のことを嫌っているとわかったうえで団結すべきときには力を合わせる。陰にこもらないコミュニケーションは富山らしいですね。
柴田:富山らしいといえば、清んさのおばば。あれはおばばが偉いんですよ。布団で死んだふりなんかして、おかかたちがこれからは自分たちがしっかりしなきゃいかんと団結して飛び出した途端に、にやりと目を開けて金歯を“キラ~ン”とさせて。
室井:あれは自分でもおかしかった。劇中、おかかたちが大挙して米商店へ押しかけたことで見せしめに清んさのおばばが投獄されてしまう。おばばは牢屋で抵抗を続けるも次第に衰弱し、リーダーを失ったおかかたちの結束は次第に緩んでいく……。そんな中おばばが釈放され、おかかたちは床に伏して“死にかけた”おばばを囲んで決起集会を開き、再び立ち上がる。
柴田:リーダー格のおばばはみんなをまとめるために、ああやって知恵を働かせる。あの感じ、よくわかるなぁ。で、後になっておばばは偉いもんだねと、みんな言うんです。