挺身隊問題対策協議会の尹美香・前理事長は公金流用などでスキャンダルまみれに(EPA=時事)
以上のように、慰安婦問題とは、強制連行の問題でもなく、性的暴行の問題でもない(良し悪しは別として、当時は売春婦は正式な職業だったため)。元慰安婦たちの要求も、当初は「未払いの賃金を払え」というものだった。しかし、この点については、徴用工問題と同様、1965年の日韓基本条約とともに結ばれた請求権協定で「完全かつ最終的に解決されたこと」とされている。当時の日韓交渉の記録(1961年5月)も公開されているが、そのなかで日本側は賠償金について、「個人に対して支払ってほしいということか」と尋ねているが、韓国側は「国として請求して、国内での支払いは国内措置として必要な範囲でとる」と回答している。つまり、日本は個人賠償を提案したが、韓国が“国に対して払ってもらえれば、国内での支払いは自分たちでやる”として断ったのである。韓国の求めに応じ、日本政府は5億ドルを支払っている(ほかに民間借款が3億ドル)。それを今になって日本政府や日本企業に支払いを求めることは明らかに協定違反であり、国際法の原則に反している。
文在寅政権になってから、韓国は中国、北朝鮮に接近すると同時に、反日キャンペーンを加速させてきた。2015年の日韓慰安婦合意に基づき、日本政府が10億円を拠出して設立した「和解・癒やし財団」も、文政権は2019年に一方的に解散させてしまった。慰安婦問題を解決から遠ざけてきたのは文政権なのである。韓国政府は徴用工訴訟でも慰安婦訴訟でも「司法の問題だから政府は関係ない」という態度だが、徴用工や慰安婦に対して支払うはずの賠償金を日本から受け取りながら、そのまま懐に入れて頬かむりしてきたのが韓国政府であることは認めるべきだろう。