湾岸タワマンは一部で「暴落現象」も
一方、毎日勤務先に通う必要がなくなれば、都心や駅近のマンションを高額の住宅ローンを借りて買う必要はない。特に20平方メートル台の息苦しくなるようなマンションを何千万円も出して購入して、何十年もローンを払い続けるのはナンセンスだ。
海が好きな人は海のそばに、山が好きな人は山の近くに、下町の喧騒が好きな人はその近くに住むことも可能になった。幸いにして、そういった場所では都心やその近辺よりも住宅価格が安い。その反面、資産価値はあまり高く評価されない。
こういう動きが顕著になれば、都心やその近辺のマンション価格は需要が減って下落するのだろうか?
確かに、そういう傾向はみられるはずだ。そもそもコロナ前の都心や城南、湾岸エリアのマンション価格は異様に高かった。2013年以来の金融緩和によって始まった価格高騰を助長したのは、値上がり目的の投機的購入だ。湾岸のタワマンなど、竣工前後から大量の新築未入居物件が売り出されていたのが、それを象徴している。いわゆる転売ヤーさんたちのあざとい動きだ。
コロナ後は、都心や湾岸エリアへの居住需要が基本的に減退するはずだ。そして、不自然な水準まで高騰していた価格はゆっくりと是正されるだろう。数年間は下落基調が続き、やがて落ち着くのではないか。ただし、部分的には暴落的な下落現象が見られるかもしれない。暴騰的に価格が上がっていた物件は、下落も激しくならざるを得ない。