都心の飲食店は“新陳代謝”が進む
コロナ禍で最も打撃を受けている業種のひとつが飲食であろう。インバウンド需要への依存が大きかった銀座では、次々に飲食店が閉店しているという。新たな借り手を探そうとしても、今はかなり困難だ。
コロナに収束の気配が見えない限り、この流れは変わらない。しかし、コロナ禍はいずれ終わる。東京の銀座や大阪のなんばにも、いずれインバウンドは戻ってくる。
そうなった時、彼らを迎える飲食店たちはコロナ以前とは様変わりしているはずだ。コロナ禍は既得権のように一等地に店を構えていた、代わり映えのしない老舗店舗を半ば強制的に退去させ、街自体を新陳代謝させてしまうに違いない。
経営者は変わり、お店のコンセプトが変わり、料理のメニューも真新しくなっている。そして、銀座やなんばには、コロナ以前には存在しなかったようなレストランが立ち並んでいることだろう。インバウンドはもちろん、私たち日本人も、そんな新しいお店を楽しめるはずだ。
コロナ禍によってお店を畳まざるを得なかった旧経営者さんたちには申し訳ないが、やや淀みがちだった伝統的な繁華街の風景を、コロナが半強制的に若返らせたと考えたい。
戸建て人気の行方はテレワーク次第
住宅市場にも、コロナ禍は大きな変化をもたらした。コロナ以前は「都心」と「駅近」に立地するマンションの資産価値が高く評価された。2013年に始まった異次元金融緩和以来、都心や城南、湾岸エリアのマンション価格はバブル的に高騰していた。価格が上がる分、面積はどんどん狭くなっていった。都心では財閥系大手でさえ、20㎡台の住戸を平気で作るようになっていた。
しかし、コロナ禍は住宅に対する需要を微妙に変化させた。例えば、にわかに一戸建てが売れるようになった。テレワークで自宅にいる時間が増えると、上階や隣接の住戸から生活音や振動が漏れてくる。外に出るには3密のエレベーターに乗らなければならない。リビングでテレワークしていると、家族が気になる──。
戸建てにはそういう懸念が少ない。部屋数も多いので、テレワークルームを設定できる。だから新築も中古も、戸建てが売れたのだろう。コロナ後もテレワークが定着しているのであれば、戸建てへの需要は安定するはずだ。