“あなたが大切”と伝える 4つの柱と自己決定権
ユマニチュードはフランスの体育学の専門家イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが考案したケア技法。約40年にわたり医療、介護の現場で、介護がうまくいくときといかないときの違いを見極め、技術を開発したという。
「具体的な技術は500を超えるほどありますが、基本は【見る】【話す】【触れる】【立つ】の4つの柱。ケアをする/されるというかかわり以前に、“あなたが大切です”という気持ちを、認知症のある人にもわかるように届けるための技術です」
【見る】は本人の視野に正面から入って近づき、水平に、ある程度の長い時間、しっかり視線を合わせる。相手に対し正直、親密、平等、好意を伝える技法だ。
【話す】落ち着いた低めの声でゆっくり話す。ケアの場ではつい指示や命令になりがちだが、前向きな提案や励ましの言葉に置き換えて。言葉の意味が理解されない場合も、やさしい声や話し方がメッセージとして伝わる。
【触れる】言葉によらないメッセージの1つ。つかまないことが大原則。下から支える位置で、触れる面積を広くすると安心感が生まれる。
【立つ】人は立って歩くことで生理学的にも健康が保たれ、またその人らしさや尊厳が守られる。できるだけ寝たきりでなく、立つ、体を起こす時間を持つように心掛ける。