熱狂するトランプ信者たち(写真提供/横田増生氏)

熱狂するトランプ信者たち(写真提供/横田増生氏)

横田:大統領選を現地で1年間取材して肌で感じたのは、トランプ支持者が好むメディアの変化です。最初は保守系テレビのFOXをよく視聴していたけど、FOXがトランプの敗北を認めた今や、彼らはテレビすらまったく見ません。支持者が見るのは、「ニュースマックス」や「ワンアメリカニュースネットワーク(OANN)」という、ファクトチェックが疎かなトランプ寄りの新興の極右メディアだけです。今回僕が話を聞いたトランプ支持者は、「ワシントンポストとニューヨークタイムズとCNNは、ジョージ・ソロス(ユダヤ人投資家)の資金で全部つながっている」と本気で信じていた。

池上:そうした熱烈な支持者がいることも、トランプ氏が大統領選の敗北を認めない一因でしょうね。彼は「スムーズな政権移行に協力する」と語るのみでバイデン氏におめでとうの一言もない。これまで多くの元側近が「トランプの知能は小学生並み」と証言していますが、本当に駄々っ子みたいです。

横田:今回の襲撃でダメージを受けましたが、トランプは自分の権勢をできるだけ引っ張りたいと思っているはずです。

池上:何といってもトランプ氏は大統領選で現職としては最高となる7400万票を獲得しました。しかも世論調査によれば、共和党支持者の4割以上が連邦議会の占拠を評価しています。これは衝撃的な数字です。占拠後に「我々の偉大なる旅路がまたスタートする」とツイートしたトランプ氏は、明らかに4年後の大統領選を意識しています。今後も「負けた」とは絶対に口にせず、「盗まれた」と言い続けるでしょう。

【プロフィール】
池上彰(いけがみ・あきら)/1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、1973年NHK入局。1994年から「週刊こどもニュース」のお父さん役を11年務め、2005年よりフリージャーナリストとして活動。2016年より名城大学教授、東京工業大学特命教授。

横田増生(よこた・ますお)/1965年福岡県生まれ。アイオワ大学ジャーナリズムスクールで修士号。物流業界紙の記者、編集長を務め、1999年フリーに。2020年、『潜入ルポ amazon帝国』(小社刊)で新潮ドキュメント賞受賞。

※週刊ポスト2021年1月29日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン
水原一平とAさん(球団公式カメラマンのジョン・スーフー氏のInstagramより)
「妻と会えない空白をギャンブルで埋めて…」激太りの水原一平が明かしていた“伴侶への想い” 誘惑の多い刑務所で自らを律する「妻との約束」
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一
「こんなロケ弁なんて食べられない」『男子ごはん』出演の国分太一、現場スタッフに伝えた“プロ意識”…若手はヒソヒソ声で「今日の太一さんの機嫌はどう?」
NEWSポストセブン
1993年、第19代クラリオンガールを務めた立河宜子さん
《芸能界を離れて24年ぶりのインタビュー》人気番組『ワンダフル』MCの元タレント立河宜子が明かした現在の仕事、離婚を経て「1日を楽しんで生きていこう」4度の手術を乗り越えた“人生の分岐点”
NEWSポストセブン
元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン