2020年の緊急事態宣言では休業。2021年は時短営業を求められているパチンコ店(AFP=時事)
残った数本のそばをつまむ西口さんだが、そのどれも箸の先でぷちん、ぷちんと切れる。いや、切っているのか。しばらくして、
「時短要請、応じますけどね」
筆者を見ず、それだけ言った。
「日本中どこも厳しいですから、うちだけってわけにはいきません」
西口は怒っている。物わかりのいいように聞こえるが、声色は明らかに怒っている。1月7日の1都3県の緊急事態措置には、クラスターの頻発する飲食店とともに、なぜかパチンコ店にも20時以降の営業時間短縮という協力依頼が行われた。これに対してパチンコ・パチスロ店舗が加盟する東京都遊技業協同組合は組合員(ホール)に対して、「パチンコ・パチスロ店営業における新型コロナウイルス感染症の拡大予防ガイドライン」の徹底、各種告知広告宣伝の禁止、20時以降のネオン、看板照明の消灯(保安上。必要な場合を除く)とした。
「あくまで法律に基づかない”呼びかけ”って、卑怯ですね。都遊協も言うこときくしかないでしょう。私どもの地域も一都三県(取材段階の発令地域)に含まれているわけで、県遊協も同じように応じるしかない状況です。個々のホールは知りませんがね」
そう、あくまで「呼びかけ」であったが、その裏には「お前らも時短しろ」という本音が隠れている。クラスターの発生していないパチンコ店も、ゲーセンも、映画館も時短に応じるしかなかった。
「かわいそうに、夜8時に閉めたら大半のゲーセンはやってられないでしょう、平日なんて仕事帰りの客頼みなんだから」
1都3県のタイトーは一部の店を除き、夜8時閉店で協力した。セガは店による。ちなみに蕎麦屋の向かいにある我らが聖地、ハイテクセガ柏店は協力するものの22時30分までは営業する。今回ばかりは、大手すらその対応は分かれた。
「そりゃそうですよ、ホールだって同じです。協力するにしろ、1時間くらいの前倒しが限界でしょう」
この「呼びかけ」は法律に基づかないため協力金は1円も出ない。
「あてにはしませんけどおかしな話です。我々は換気、除菌、飛沫防止ボードと徹底してます。マスクをしてなければ差し上げたり、スタッフも最低限の会話しかしない」