スポーツ

天理大の大学ラグビー日本一 天理教の沈滞ムードに光を射した

天理大は関西勢として36年ぶりの大学日本一になった(時事通信フォト)

天理大学は関西勢として36年ぶりの大学日本一になった(時事通信フォト)

 箱根駅伝のダークホースとして大会を盛り上げた創価大学、そして全国大学ラグビー選手権で明治や早稲田といった名門を撃破して初優勝を果たした天理大学。両校は「宗教団体」を母体とする。なぜ教団はスポーツ教育に力を入れるのか──。『永遠のPL学園』(小学館刊)の著者でノンフィクションライターの柳川悠二氏が裏側に迫った。(文中敬称略)

 * * *
 創価大学が総合優勝まであと一歩の快走を見せた箱根駅伝から8日後の1月11日、全国大学ラグビー選手権の決勝に臨んだ天理大が、早稲田大を55対28で破り、同校として初めて、関西圏の大学としては1984年の同志社大以来2校目となる日本一に輝いた。

 1925年の建学と同時に創部されたラグビー部を率いるのは、天理高校のOBである小松節夫監督(大学は同志社)。昨年8月、天理大ラグビー部では部員62人が新型コロナに感染するクラスターが発生し1か月間にわたって練習が禁止された。苦難の末にたどり着いた初優勝の喜びを小松監督はこう表わした。

「我々だけでは乗り越えられなかった。大学、天理市民の皆さんのおかげで(活動を)再開できた。恩返しができて喜んでもらえることが嬉しい」

 宗教団体名が自治体名となっている奈良県天理市では、午後2時になると街中でサイレンが鳴り響き、信者は足を止めて教祖殿の方角を向き、静かに礼拝を始める。午後2時は1887年に教祖・中山みき氏が亡くなった時刻とされる。

 建学からスポーツに力を入れてきた天理大では、付属校とともに柔道部、ラグビー部、野球部が「天理スポーツの3兄弟」と呼ばれ親しまれてきた。

 体育学部のキャンパス内には柔道部などが練習する立派な武道館があり、大学と高校それぞれが総合運動公園規模の広大な練習施設を持ち、多くの運動部が専用グラウンドで汗を流す。

“長男”の柔道はこれまで五輪3連覇を果たした野村忠宏氏やシドニー銀メダリストの篠原信一氏などを輩出。柔道一家に育ち、実父が天理高校柔道部の監督を務めた野村氏は2015年の現役引退時、教団の次期トップである中山大亮青年会長に引退報告をしたと報じられた。

“三男”の野球では、1986年に天理高校野球部が夏の甲子園決勝で松山商業を下し、初めて深紅の大優勝旗を手にした。この年は教祖の没後100周年となる「教祖百年祭」の年にあたり、スカウティングに力が注がれた代であった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年12月3日、撮影/JMPA)
《曾祖父母へご報告》グレーのロングドレスで参拝された愛子さま クローバーリーフカラー&Aラインシルエットのジャケットでフェミニンさも
NEWSポストセブン
指示役として逮捕された村上迦楼羅容疑者
「腹を蹴れ」「指を折れ」闇バイト主犯格逮捕で明るみに…首都圏18連続強盗事件の“恐怖の犯行実態”〈一回で儲かる仕事 あります〉TikTokフォロワー5万人の“20代主犯格”も
NEWSポストセブン
3年ぶりに『紅白』に出場するKing & Prince
《ボーイズグループ群雄割拠時代が到来》キーワードは「オーディション」と「自由」 メンバー個人での活躍の場も拡大、“脱退組”にも注目
女性セブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《スクープ》“連立のキーマン”維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官が「秘書給与ピンハネ」で税金800万円還流疑惑、元秘書が証言
NEWSポストセブン
2018年、女優・木南晴夏と結婚した玉木宏
《ムキムキの腕で支える子育て》第2子誕生の玉木宏、妻・木南晴夏との休日で見せていた「全力パパ」の顔 ママチャリは自らチョイス
NEWSポストセブン
大分県選出衆院議員・岩屋毅前外相(68)
《土葬墓地建設問題》「外国人の排斥運動ではない」前外相・岩屋毅氏が明かす”政府への要望書”が出された背景、地元では「共生していかねば」vs.「土葬はとにかく嫌」で論争
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン