(時事通信フォト)

撮影現場では、まるで本物の恋人同士だった(時事通信フォト)

 いわば“似た者同士”でもある菅田将暉と有村架純は、映画の衣装を身にまとって些細な会話を取り交わしただけで、すでに劇中人物としての存在感を放っていたらしい。『花束みたいな恋をした』でプロデューサーを務めたリトルモアの有賀高俊氏は撮影現場での体験をこのように振り返る。

「菅田さんも有村さんも撮影前には自然と役に入り込んでいたと思います。5年間の恋を描くのでそれぞれ役としての衣裳が90パターン近くはありました。数日間の衣裳合わせの最終日に二人揃って衣裳確認を行った際、菅田さんと有村さんが役衣裳を身に着けると、そこにはもう“山音麦”と“八谷絹”が明らかに存在していました。

 芝居を求めなくとも二人の些細な会話が、劇中の麦と絹を見ているようで心地よかったことを今も鮮明に記憶しています。どこにでも居そうな20代の恋人同士そのものでした。菅田さんと有村さんの役に対する姿勢・センスは絶妙です。余計なことは考えず今ここにいる二人を丁寧に撮ればいいのだ、と確信しました」(有賀氏)

菅田将暉、有村架純の役者としての魅力

 ではそんな二人は『花束みたいな恋をした』でそれぞれどのような才能を発揮しているのだろうか。小野寺氏は菅田将暉について、往年の名優に比すべき芯の強さを持ちつつ、新しい世代の価値観を体現する“稀有な俳優”だと指摘する。

「菅田将暉は、演じる役柄によって風貌すら変わっているように見える、稀有な俳優です。シンガーとして活躍したりファッションデザインなどもこなすという、マルチなタレントを発揮しているように、現代 的な存在でありながら、役柄によっては古い時代の俳優が持っていた芯の強さを垣間見せるときもあり、幅広い層から人気を得ています。

 映画やドラマでエキセントリックな役柄や、夢を追いかける爽やかな青年を演じているのと同時に、ドラマ『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』で、石原さとみ演じる主人公の励みや癒しになる、“ヒロイン”のような存在を演じていたことが印象的です。恋愛において必ずしも男性が前に出るわけでないという、新しい世代の価値観を演じてきていることで、いまの20代の規範になっているところもあると思います」(小野寺氏)

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