2021年大河ドラマ主演、渋沢栄一を演じる吉沢亮(時事通信フォト)

2021年大河ドラマ主演、渋沢栄一を演じる吉沢亮(時事通信フォト)

 王子駅に隣接する飛鳥山は花見の名所として知られ、桜のシーズンは多くの人出でにぎわう。2009年には飛鳥山公園モノレールというスロープカーも整備された。北区は飛鳥山公園の観光地化に取り組んだが、どことなく赤羽の後塵を拝している感が拭えていない。

 そんな中、渋沢が新一万円札の顔に決まり、大河ドラマ『青天を衝け」の主人公にもなることが決定。これにより、急に追い風が吹き始めた。なぜなら、渋沢と王子は切っても切れない深い関係にあるからだ。

 日本資本主義の父とも称される渋沢は、第一国立銀行(現・みずほ銀行)をはじめ東京株式取引所(現・東京証券取引所)、東京商法会議所(現・東京商工会議所)など経済を活性化させるための機関を次々と設立した。

 渋沢は日本橋兜町に事務所を置いたが、王子駅に隣接する飛鳥山に邸宅を構えた。渋沢は兜町の事務所から上野駅まで馬が線路を走る車を引く馬車鉄道、上野駅から王子駅まで日本鉄道(現・JR東日本)の汽車に乗って飛鳥山と兜町を行き来していた。

 メインの事務所は兜町だが、渋沢の自宅に押しかける政財界関係者は多く、飛鳥山は渋沢詣での地になっていた。

 飛鳥山公園の一画には、現在でも渋沢の邸宅地を改修した渋沢史料館、晩香廬、青淵文庫が所在している。大河ドラマで渋沢を演じる俳優・吉沢亮さんは、主役に決まった後に渋沢史料館を訪問。渋沢の人となりや足跡を学んだという。

「飛鳥山公園内には北区飛鳥山博物館・渋沢史料館・紙の博物館という3つの博物館があります。渋沢史料館が渋沢とつながりがあることは言うまでもありませんが、王子は渋沢が洋紙製造を目的にして抄紙会社(現・王子製紙)を立ち上げた地です。そうした縁から、紙の博物館もあります。また、大河ドラマの放送に合わせて、飛鳥山博物館の一画を大河ドラマ館へとリニューアルします。つまり、王子にある3つの博物館は、すべて渋沢と関係していることになります」(同)

 渋沢の活動は第一国立銀行(現・みずほ銀行)に支えられていた。第一国立銀行は1873年に設立されたが、同じく抄紙会社も1873年に立ち上げられている。渋沢にとって、銀行も製紙業も、経済発展に欠かせない産業だった。

 ペーパーレス化が急速に進む現在において、「紙」の存在感は小さくなりつつある。だから、製紙業が経済発展に欠かせないと聞いてもピンとこないかもしれない。

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