大坪は昨年8月、子ども家庭局の審議官に任命され、従来のコロナ対策の本流から切り離された。もっぱら子育て支援や小中学校の感染対策といった側面支援の役回りだ。
一方、安倍政権ではアベノマスクをはじめとしたコロナの失政が目立ち、首相自身がやる気を失った。そして彼女にとって菅政権誕生という好機が訪れる。9月に菅政権が発足すると、子ども家庭局の審議官である彼女は、首相肝煎りの不妊治療政策を担う。もっとも、やはり省内の評判は芳しくなかった。政府のある中枢幹部が打ち明ける。
「形の上で彼女は子ども家庭局担当審議官ではありましたが、厚労省内では、これ以上振り回されたくない、という思いが強かったのだと思います。政策に彼女が口を挟むと、和泉までセットでついてくるため、面倒だということです。従来の不妊治療の助成金拡大を進めてきましたが、ほとんど局長と課長だけで仕組みをつくり、彼女を関与させなかった。局長が事務次官や医政局長とともに官邸の菅総理へ報告し、物事を決めていったのです」
それが彼女はおもしろくない。
「それで彼女が暴れたんです。官邸に『わたし、干されているんです。仕事をしたいんですけど』と直訴したといいます。しかも泣きついた相手は、和泉さんだけではなかったようです」
先の厚労官僚はこうも付け加えた。
「どうやらツボ子姐さんはかなりのお嬢さん育ちらしい。富岡製糸場の創業者に連なる血筋で、大きな病院の令嬢だったとか。爺キラーで、和泉さんをはじめ政府の要職にある人たちが放っておかないといいます」
官邸関係者にも聞いた。
「彼女はいつしか事務方トップの杉田(和博)官房副長官ともかなり懇意になりましたね。もうすぐ80歳に手の届く杉田さんは、安倍政権が発足して間もない官房副長官就任早々に倒れてしまい、不整脈の不安を抱えています。彼女はその杉田さんの脈をとり、日常的に健康管理のアドバイスをして“主治医”のような立場になっています」
こう続ける。
「厚労省内では、『これは和泉補佐官の了承済みのことですよ』と言って、上司に食ってかかる彼女ですが、和泉さんや杉田さんには猫なで声だそうですから。おかげで厚労省の(樽見英樹事務)次官や(福島靖正)医務技監たちは、和泉さんに呼びつけられ、『大坪に仕事をやらせろ』と言われるだけでなく、杉田さんにも気を遣わなければならなくなっていました」