ふたりでスペインを訪れたときのツーショット。寄り添う姿が幸せそう
新聞配達で家計を支えた中1の夏
「百恵さんは、母と妹の3人暮らしという、決して裕福ではない家庭で育っています。森昌子さん(62才)、桜田淳子さん(62才)と“花の中三トリオ”として芸能界デビューをする前から、家計のために仕事をしていたくらいですから、そうした境遇が百恵さんを達観させたのでしょう」(前出・石川さん)
デビュー前に選んだ仕事は、新聞配達。知人に声をかけられたのがきっかけで、中1の夏のことだった。
「声をかけた人は、百恵さんから配達ができる知り合いを紹介してもらうつもりだったそうですが、百恵さんは自分でやると即答したそうです」(芸能関係者)
配達する家の住所を一軒ずつ覚え、早朝にひとり新聞を抱え、静まりかえった街中を走った。このひと夏の経験は、少女を精神的に大人にさせた。
その大人びた少女にさらに影響を与えたのが、7才年上の男性だった。そう、後の結婚相手・三浦友和(69才)である。
「百恵さんは、18才になる頃から三浦さんと本格的な交際を始めたようです。それも、あの精神年齢の高さに影響しているでしょう」
そう語るのは作家・編集者で『山口百恵 赤と青とイミテイション・ゴールドと』(朝日文庫刊)を著書に持つ、中川右介さんだ。
ふたりは普段の会話で、どんな本を読んで、どんな映画を見るかなどを語り合っていたのだという。
「“こういう本を読んだ方がいいよ”“こんな映画も見たらいいよ”と、百恵さんの感性をさらに昇華させたのが三浦さんです。もともと、百恵さんは中学生時代からヘルマン・ヘッセの『デミアン』や安部公房の『砂の女』などの本を愛読書としてあげるほどの本の虫。映画も共通の趣味で、ふたりが対談したときにはジャンヌ・モローが出演した映画『死刑台のエレベーター』の話で盛り上がったくらいです」(前出・中川さん)
『潮騒』『風立ちぬ』『春琴抄』。国語の教科書にも取り上げられるような名作のヒロインを堂々と演じた背景には、彼女の文学作品や映画への造詣の深さがあった。
三浦と百恵さんは1974年、百恵さんが15才のときにCMの撮影で出会う。同年には映画『伊豆の踊子』で現場を共にし、その後、ドラマ『赤いシリーズ』で共演を重ねるなど、多い年は1年の半分は同じ撮影現場にいるといわれるほど一緒に長い時間を過ごした。